ブックタイトル実装技術12月号2017年
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実装技術12月号2017年
45り込みは80フレーム/秒であるから特別なカメラではない。連続して画像を取り込み、複数のフレームから球の軌道を解析し、その先、どのように球が進むかを予測して追従している。ラケットは上方から出ている3本の腕で位置決めをおこない、23ビットの高精度エンコーダを搭載したサーボモータ(オムロン 1Sシリーズ)を使用し、精密に制御している。今回、トスを上げるロボット「垂直多関節ロボット(オムロンViper650)」とスイングをするロボット「パラレルリンクロボット(一般産業用)」を1/100 秒以下の精度で同期して制御している。 産業界の現場で活用されている、複数のロボット間において物の受け渡し行う動作を卓球ロボットに応用したものである。3. ロボット事業 独自の人工知能(AI)技術を搭載した「モバイルロボットLD」は、自動車や電子部品、食品・医療品などのものづくりの現場をはじめ、研究施設、物流倉庫などにおいて、人や障害物を自動で回避しながら最適なルートを自ら考え、決められた場所に荷物を届ける搬送ロボットである。ユーザーカスタマイズタイプ「OEM」と台車付オールインワンタイプ「カートトランスポーター」(図2)の2シリーズが用意されている。移動可能な範囲の地図を自動的に作製し、内蔵するレーザスキャナの測定結果を照らし合わせて自らの位置を特定しながら、人や障害物をどのように動いて避けるかをリアルタイムに考え、衝突することなく、最大130kgの搬送物を運ぶことができる。さらに、カメラオプションを搭載することで、物流倉庫など頻繁に荷物の位置が変化する環境にも柔軟に対応している。ユーザーは最大100 台の「モバイルロボットLD」を1台のコントローラで管理できるため、最適な配送管理が行え、生産ラインのレイアウト変更や立ち上げをフレキシブルかつスピーディに行うことが可能となる。4. ドライバ見守り車載センサ ADAS(Advanced Driver Assist System)技術により、自動的に安全運転が行われるようになったのは素晴らしいことであるが、現在はまだ運転の責任は運転者にある。ところが、通常はADASが自動的に安全を守ってくれるので、運転者はつい気を許してしまうことになりかねない。実際、アメリカでは運転者が運転中にTVを見ていて事故が起こり、死者も発生している。 そこで、運転者の状況を監視し、万が一、運転者がよそ見や居眠りなどをしていると警報を出すシステムが必要で、オムロンから手の平に乗る程度のコンパクトなモジュールが開発された。使われている技術は、カメラで顔情報を取得するが、サングラスやマスクをしていても、目の開閉や視線の方向、顔の向きなどを判断することができる。 また、ドライバーの注意がそれている時、短時間で復帰できるかどうかをHigh / Mid / Low の3 段階で判断する。CEATEC2017に出展されたデモ機では、図3 の矢印で示した個所にモジュールを埋め込んでいる。2020 年頃には、多くの自動車にADASが搭載されると思われるので、オムロンの見守りセンサモジュールが活躍することになるだろう。5. ヘルスケア オムロンでは健康に関する多くの商品を揃えている。血圧計、体温計、歩数計、心電計、マッサージ器、補聴器、電動歯ブラシなど。中でも血圧計は世界の50%近いシェアをもって図図2 カートトランスポータ 3 ドライバー見守りセンサが埋め込まれた自動車ここにモジュール