ブックタイトル実装技術12月号2017年
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実装技術12月号2017年
31図4 透過式ターゲットのX線発生器的な反射式のX 線発生器は真空管の中にX 線を発生する電極が存在するため、どうしてもX線発生点から資料までの距離を短くすることはできない。 この問題を解決すべく新しい構造の透過型ターゲットが提唱され、一般的には開放管として知られるX線発生器として実用化された。図4に透過型ターゲットのX線発生の原理を示す。 この構造の最大の特徴は真空管の表面にあるターゲットに、内側から電子ビームをあてることでX 線を発生させることで、試料を最大限にX 線発生点に近づけることが可能である。そのため、反射型ターゲットでは30倍程度しか実現できなかった幾何学倍率を1000 倍以上と飛躍的に向上することが可能になった。この構造のもう一つの大きな特徴は、X 線の発生角度が広いことである。このため、反射型と違い、X 線発生器に試料を密着させたまま、斜めの観察が可能となり、斜めの状態でも高い幾何学倍率を維持できる。 しかし、この方式には大きな欠点があった。電子ビームをターゲットの裏面(真空管内部)にあてて、表面(真空管の外側)から取り出すため、ターゲットの厚みを厚くできないことである。ターゲットは一般的にタングステンのような重元素で構成されているため、ターゲットが厚いと、電子のあたった面で発生したX 線がターゲットを通過して表面から出てくることができない。そこで、ターゲットの厚みを薄くすると、ターゲットの寿命が短くなってしまうことである。 開放管とはこの寿命の短いターゲットを交換しながら使うために考案された方法である。反射型ターゲットであれば、一般的に1万時間程度の寿命があるが、反射型では200?500時間程度しかターゲットの寿命がない。そこで、200?500 時間ごとに真空管を開けて、ターゲットを交換できるようにすることで、実用的なX線発生器とすることができるようになった。実際にはターゲット自体を交換することはなく、ターゲットを回転させて、電子の当たる面を新しくする方法がとられている。 開放管は内部の部品を交換可能とすることで、大きな幾何学倍率を得られるようになったが、いっぽうで真空を破ったり、真空にしたりするため、真空ポンプを必要とすることとなり、常に図2 X線発生の原理(反射式)図3 幾何学倍率の定義