ブックタイトル実装技術12月号2017年

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概要

実装技術12月号2017年

 自動車の自動運転やロボット、将棋や碁など、多くがAI と報道されていますが、すべてのAIはディープラーニングに限らず、各々独自のアルゴリズムで組まれています。その中で、ディープラーニングは現在、最も注目されているアルゴリズムです。2. ディープラーニング ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるアルゴリズムは人間の「脳」をモデル化したAI 手法です。 人間の脳はニューロン(神経細胞)と呼ばれる細胞があり、これが情報を伝達しています(図2)。 ニューロンはおのおのマトリックス的に繋がっていて、前段からのニューロンの刺激に対して、ポジティブまたはネガティブな刺激を次のニューロンに伝えます。 この生物の脳の構造は20世紀初頭には解明されていてました。 コンピュータを使って人工知能を実現しようという研究の初期から、ひとつのアプローチとして、生物の脳のモデル化が研究されていました。 しかし、コンピューターの能力の限界や、ニューロンの接続や動作のモデル化などの問題があり、AIと呼べるレベルには到達しませんでした。 ニューロンのモデル化はおのおのの入力に対し、重み付けをして、1/0を出力します(図3)。 出力結果を判定し、この重み付けを変化させ、出力結果の正答率をあげてゆくのがニューロンモデルのAI の開発/学習原理です。 単純なニューロンのモデル化、ニューロンを2 段接続したパーセプトロン、3 段構造のニューラルネットワーク、または3 段以上の接続などが研究されましたが、ネットワークの接続、ニューロンの動作のモデル化、学習機能など、なかなか「頭の良いAI」が実現できませんでした(図4)。 2006 年にジェフリー・ヒントンらの研究グループが、現在のディープラーニングの基礎となるアルゴリズムを開発し、大きな成果をあげました。 そこで、ディープラーニングがブームとなり、AI=ディープラーニングというようなイメージができてしまいました。 ジェフリー・ヒントンは現在、カナダのトロント大学とGoogleに所属し、Google のAI 成果に大きな役割を果たしています。 4段以上の深い(ディープな)ニューロンの接続を持つシステムをディープラーニングと呼びます(図5)。 AI の能力を向上させるためには、多くのデータを入力し、重みを何通りも変化させながら正答率をあげてゆく必要があります。 多くのデータ入力、出力結果の良否判定、重み付けの変更の手順など、多くの問題と、ニューロンモデルの処理速度の高速化など、ソフト、ハード共に多くの問題があります。 2006 年のモデルの発表以来、デーィプラーニングAIを高機能化させるために、多くのハードウエアの進歩があり、現在のAIブームがきたのです。3. CPUとGPU 一般にインテル社のCoreシリーズに代表される86 系のコンピュータやARM 系のプロセッサはCPU(Central ProcessorUnit)とかMPU(Micro Processor Unit)と呼ばれています。 このCPUはノートPCからサーバなどの大型システムまで多くのコンピュータや組み込みシステムまで多く使われています。 64ビットや32ビットのメモリデータバスをもち、高速で演算やデータ処理を行うコア(Core)と呼ばれるプロセッサです。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図5 ニューロンの段数図4 ニューロンの論理モデル化(3 入力1 段)53