ブックタイトル実装技術12月号2017年

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概要

実装技術12月号2017年

47タを格納することもできる。低消費電力で通信が可能な近距離無線通信技術BLE(Bluetooth Low Energy)を用いて通信が可能で、正にIoT 時代に対応したセンサといえる。7. IoTを活用したFA オムロンでは、3つの「i-Automation」を提唱している。 ①「integrated(制御進化)」は、これまで熟練工に頼っていた匠の技を、誰もが簡単に実現できるよう、オートメーション技術を進化させる。②「intelligent(知能化)」は、幅広い制御機器とAIを活用し、機械が自ら学習して状態を保全する生産ラインを実現し、③「interactive(人と機械の協調)」は、同じワークスペースで人と機械が共に働き、機械が人の動きや考えを理解しアシストするなど、人と機械の新しい協調関係を提供する。 さらにIoTサービス基盤「i-BELT」を本年10月に立ち上げた。AIやIoTなどの技術革新を取り入れた自動化ニーズが高まっているが、実際の製造現場では具体的な生産性の向上や高度化は進んでいないのが現状である。「i-BELT」を通じて、設備や工程の予兆をリアルタイムに検出し統合的に分析できる環境を提供し、各種センサから収集したデータを蓄積、分析した結果を基に機器の制御に反映することで、これまで熟練技能者だけがもっていた「匠の技」をオートメーションで再現する。データの分析結果を基に、設備異常の予兆を監視したり、製品の品質を改善するためにモータやバルブなどをリアルタイムに制御する仕組みを提供するもので、今後の活用が期待される。8. まとめ  オムロン社の2017年3月期の連結売上は、図8のように7,942 億円で、営業利益は680 億円、利益率8.5%の立派な成績である。同図のように制御機器が40%であるが、その他の分野も1000 億円の売り上げでバランスの取れた経営状態といえる。 オムロン社は、創業者の立石一真氏の強い意志が今も受け継がれており、進取の気性に富んだ優れた企業と見受けられる。最近ではIoTを先取りする動きを活発に行われており、日本の産業界をリードしている。特に、日本の製造業が以前の勢いがないといわれており、これの立て直しには日本的な和の精神や気配りの努力だけでは海外企業に太刀打ちできなくなってきた。AI、ディープラーニング、IoT、さらに実用化目前の5G(第5 世代通信)などをいかにビジネスに取り込むかが重要と思われる。この分野でのオムロンの活躍を期待したい。 3年間の長きにわたり、「きらりと光る優良企業」を連載させていただきましたが、今回のオムロン社をもってひとまず最後といたします。 毎月、いろいろな企業を訪問し取材させていただき感謝しております。また、ご愛読いただいた読者の方々にも心からお礼申し上げます。 半導体が専門である筆者にとってまったくの専門外の話題が多く、付け焼刃的な記事が多かったと思いますが、大いに勉強させていただきました。今後は定例の記事はありませんが、何か注目すべき話題があれば投稿させていただくつもりです。感謝の言葉図7 透明資料の検出システムと投光/反射の同軸ファイバ2例図6 ノイズの多い画像から、必要な画像を得る方法図8 売上高約8000億円の内訳