ブックタイトル実装技術12月号2017年

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概要

実装技術12月号2017年

33400tRXでは110kVと高出力なX線発生器を採用しているため、漏洩防止のシールド重量の分だけ重量が増加している。さらに、焦点径も2μmと開放管並みの焦点径を実現した。 この焦点径というのは日本検査機工業会(JIMA)によって製作されたチャートを用いるのが近年一般的になっている。図7にFX-400tRXで撮影した2μm のチャートとFX-300tRXで撮影した3μm のチャートの写真を示す。 幾何学倍率が高いということは、その分小さい焦点径でないと画像がぼけて映るだけである。FX-400tRXは公称2μm の分解能を持っており、FX-300tRXは公称5μmながら他の90kV 管では不可能な3μm の実力をもっているため、1000 倍という幾何学倍率の撮像を実現している。 BGAやCSP の観察には幾何学倍率が大きなことは必須の条件であり、基板の観察に反射型ターゲットの密閉管は適していない。これはこのような旧来型の装置でJIMAチャートを撮影してみれば、一目瞭然となるであろう。3. 照射範囲の広い透過型ターゲットの応用 図4に示したように、透過型ターゲットはX線の照射範囲が広いことが大きな特徴である。当社では、この特徴を利用した機能として、両面基板の裏面をキャンセルすることが可能な「X線ステレオ方式」を開発した。CTとは違い、短時間に裏面、あるいは表面をキャンセルすることが可能となり、両面基板の検査を飛躍的に容易にした(図8)。 従来のようなカメラを傾ける方式で両面基板を検査しようとすると、反対面の部品に遮られて、ブリッジなどの検査でさえ容易にできなかった。しかし、この「X 線ステレオ方式」では、反対面の画像を数回程度の撮像でキャンセル可能なため、若干の撮像時間の増加で今まで不可能であったBGAやQFN などの下面電極部品の検査が可能となった。 しかし、ステレオ方式の画像はあくまで透過画像のため、BGAのボールのはんだまくらなどは検査できなかった。そこで「X線ステレオ方式」をさらに推し進めて開発をしたのが、当社の「ステレオCT方式」である。図9にその概略を示す。 撮像空間内を100 層の水平断面にすることで、BGA のはんだまくら図9 ステレオCT方式の概要 の検査を可能とした。図8 X線ステレオ方式による裏面キャンセル画像裏面のチップ部品は消え、同一面のブリッジは残る図7 JIMAチャート基板とボールの界面付近基板とボールの界面1/2付近ボール中央基板の上から下までを100層に分割してスライス断面で検査!基板上で検査のデッドスペースはありませんFX-400tRX 2μm FX-300tRX 3μm(参考)