ブックタイトル実装技術12月号2017年

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概要

実装技術12月号2017年

301. 自動運転を背景としたX線装置の普及 図1は、2014年12月号に拙稿を掲載した際のロードマップ資料である。当時はまだカーエレクトロニクス分野ではECUやIGBTなどを中心とした実装がX線装置の適用分野にとどまっていた。 しかし、この後に急速に自動ブレーキを端緒として、自動運にまつわるカーエレクトロニクスの拡大、さらにはその品質保証というものが注目されるようになってきた。従来は自動車に何か不具合があったときに、最後にブレーキを踏むのは人間であった。そのため、電装系に不具合が生じた場合でも、人間が最後の砦として機能することができていた。 今後出てくるであろう完全自動運転、あるいはその手前のレベルの場合、最後にブレーキを踏むのは自動車そのものである。そのため、車載機器に使用される基板や部品に対しての品質要求は従来とは比べものにならないレベルが求められている。従来は抜き取りでも問題なかったり、十分な倍率がなくて解析が進まなくてもよかったケースが、全数検査やしっかりした解析を求められるようになってきた。 インライン機においては価格の高さから導入を控えていたケースでも、コストパフォーマンスに見あう製品の導入が検討されはじめている。解析に使用されるオフライン機においても、従来は倍率が低い装置で見えなければ致し方ないという考え方だったものが、低価格でも開放管レベルの倍率を求められるように変化してきている。 本稿ではX 線検査機の最新技術について紹介をするとともに、検査機の選定に必要な具体的な事例を紹介していきたい。2. X線検査機における最新技術動向1. X線発生器の構造と最新デバイス 1985年にレントゲン博士によって、X線が発見されてから、長い間発生器の構造は大きく変化することがなかった。図2にもっとも一般的に用いられているX線発生装置の原理図を示す。 これは反射式と呼ばれるもっとも古くから用いられている構造である。しかし、近年のプリント基板実装における高倍率での撮像には、この構造は致命的な欠点がある。その欠点とは幾何学倍率が大きくできないということである。 幾何学倍率とはレントゲン博士が提唱したX 線の倍率計算の基本的な考え方である。幾何学倍率の定義を図3に示す。 同図に示されるように、X線の発生点から資料までの距離と、X線発生点から撮像面までの距離の比が幾何学倍率と呼ばれるものである。この定義からわかるように、幾何学倍率を大きくしたい場合、X線発生点と試料の間隔をできるだけ近づけることが重要である。一般X線検査機の最新技術図1 2013年の実装領域定義(出典 : JEITA 実装ロードマップ2013年度版)(株)アイビット / 太田 眞之