ブックタイトル実装技術12月号2017年
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実装技術12月号2017年
25はんだ洗浄の今を探る ?はんだの進化と洗浄?半導体実装24 洗浄が必須とされていたのは なぜか? 周知の事実となっているが、そもそもなぜはんだ付けを行なった後、製品の洗浄が必要とされていたのかを確認させていただく。一般的に使用されているはんだである「ソルダペースト」を例に考えてみると、金属成分以外の多くの物質が混入されており、下記の物質が残存してしまうと導通不良が起こってしまったり、マイグレーションなどの発生により短絡が生じたり、最悪の場合は搭載部品を腐食してしまうなどペーストの付帯・接合時に良性に寄与していた物質が悪影響を引き起こしてしまうのである。その原因となるのはフラックス・添加剤起因のイオン性物質が中心である。これらを抑制するために、はんだ付け後の洗浄は一般的に必須事項とされていたのである(図1、図2)。 しかし、ソルダペーストはペーストの塗布安定性、リフロー制御技術と合わせ目覚ましく進展を遂げ、技術開発がなされた結果、フラックス洗浄は著しく減少していった背景がある。これには多量に必要だった添加剤も新たな物質の台頭により添加量の減少に繋がっている点や、ハロゲンフリー化が可能となったことが大きな理由である(図3)。 欧州をはじめとする諸外国は洗浄をすることが一般的に行われている。いっぽうで、日本は多くのメーカーが無洗浄タイプのソルダペーストへの切り替えを実現し、日本での無洗浄化の割合は9割ともいわれている。洗浄工程をなくすことは製造コストの観点からも多大なメリットがあるため、多くのペーストメーカーは無洗浄はんだを主軸に製品の開発を行っている。 はんだの金属組成 図4に一般的なPbフリーはんだの金属組成を示す。共晶はんだ(Sn-Pb)と比較してPbフリーはんだは機械強度・ぬれ性・融点温度などに劣る部分があり、価格もベース金属にAgを使用していることから高価となる傾向にある。そこでPbフリーはんだには多くの改良がなされて現在に至っている。近年ではレアメタル系金属を添加する事で、飛躍的に接合強度や熱耐性などが改善され、信頼性が向上している。また高くなりがちな溶融温度も低下できる技術が見出されており、今後も発展を遂げていくと考えられる。新たな金属組成による性能の向上は、添加剤をはじめとする、多くの副資材量の抑制に寄与しており、無洗浄はんだの技術を支えている。 無洗浄はんだの洗浄需要は なぜ生じるのか? はんだは前項のような様々な技術が確立され、性能は日々向上している。しかし、はんだには過酷ともいえるスペックが要求されているのが現状であり、市場の要求はより厳しくなっている。ゼストロンジャパン(株)3図3 無洗浄化への改良点図4 Pbフリーはんだの組成例(上) 金属添加の効果(下)