ブックタイトル実装技術10月号2017年特別編集版

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概要

実装技術10月号2017年特別編集版

441. はじめに 半導体は産業のコメといわれて久しいが、半導体が産業のコメだとしたらプリント基板はさしずめ良いコメが育つのに欠かせない田んぼといったところだろうか。そして、この田んぼも時代の変遷を受けて、狭スペースでも効率的に美味しいコメが取れるように層を増やし、極小で超ハイスペックのコメを狭ピッチで耕すなど、基板業界も技術力を高めてきた。 当社は電子・電気機器の設計を中心にコンシューマ向け、産業用機器向けの受託開発・受託製造を行い、多種多様の基板設計および機器製造の開発を手掛けてきた。その中には大電流や狭ピッチなどで放熱に課題を残している基板の対策をするなど技術的なアプローチや、その他に半導体などの電子部品、静電気対策製品の仕入れ・販売も行っている。 電子機器に於いて小型化・省電力化が進むなかで高速演算処理IC・高密度実装基板の放熱技術は重要な要素となっている。また、大電力制御基板や多数のLEDを実装した照明機器用基板の発熱は特に大きく高性能な放熱技術が必要になっている。 本稿では複数のLEDを搭載したLED実装基板の放熱を中心に新放熱技術について紹介させていただく。2. LED電源駆動方式について LEDチップは電流駆動により動作するが、その電源駆動方式にはDC(直流)駆動タイプのものとAC(交流)駆動タイプのものがあり、それぞれに一長一短がある(図1)。 現在の主流はDC 駆動タイプで、①豊富な種類の中からLEDチップを選択可能だが、②商用電源で使用する場合には交流から直流に変換するための直流電源装置が必要となり、その実装スペースおよびLED発光部分の放熱以外に電源部の放熱が必要となる。③さらにLED 照明機器の信頼性はLEDチップの寿命が非常に長いのに比べてアルミ電解コンデンサなどの部品を使った直流電源装置の寿命により大きく影響を受けることがある。 それに比べAC 駆動タイプは、①ACダイレクト点灯方式により電流制限抵抗以外の電子部品は不要となり、直流電源装置とその実装スペースが不要なため照明機器として小型化が容易で構造簡単化が図れる。②さらに照明機器の寿命は直流電源装置に影響されないためLEDチップ自体の寿命とほぼ同じとなる。そのため信頼性の高い照明機器を提供することが可能となる。③AC 駆動タイプはLEDチップに外部抵抗を通して交流電圧が直接印加され、LEDチップ内の正極電圧で発光するチップと負極電圧で発光するチップが一体化された集積度の高いLEDチップとなっている。そのため、発光素子と整流素子の機能の高集積度の影響により、チップで発生する熱を効率良く放熱することが必要となり放熱技術がより重要な役割を担っている。 LEDチップはDC 駆動タイプ、AC 駆動タイプのいずれにしろ、LED 照明装置から出る光の中には赤外線の量が従来の白熱灯や蛍光灯と比べて非常に少ないためクールな照明となっているが、現在の発光効率でもLEDで消費される電力の約7割は熱となって放熱されるのが現状である。そのため、半導体であるLEDでは温度が上昇すると発光効率や寿命が低下するなどの不具合が生じるためLEDを高密度で実装するLED 照明用基板では効率良い放熱技術が求められている。3. 新放熱技術開発の狙い 当社の得意分野である装置開発プロセスと設計開発技術力を駆使し、市場拡大が見込まれる省資源・省電力向けのエコ製品の開発に着手している。プリント基板の新放熱技術について図1 電気回路接続イメージ(株)ワイティーエル / 近藤 良夫、 瀬尾 和隆