ブックタイトル実装技術10月号2017年特別編集版

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概要

実装技術10月号2017年特別編集版

28電子部品1 電気・電子産業界は電子回路板用材料、電子材料、絶縁材料などの材料によって支えらえているといっても過言ではないほど、材料の特性や特徴によって電子機器の性能に影響する。 このような状況の中で、電子回路基板産業は、今や中国が世界一の生産国となり、そして台湾、韓国、日本と続いている。 電子回路基板の生産国の順位が変化している状況を鑑み、電子回路基板に使用される材料メーカーの動向を明らかにしようと考えた。 最近の業界動向をみるために、広く世界に目を向け、その企業数などの実態を明らかにしたいと思って、気の遠くなるような調査を試みた。 電子回路基板の生産国の比重が移っていったため、あらためて銅張積層板、フレキシブル銅張積層板、金属銅張積層板、ビルドアップ用層間絶縁材料、絶縁材料などに焦点をあて、世界にどのぐらい存在し、どのような国にどんなタイプが分布し、品種別、地区別の特徴などの調査を試みた。その結果について解析して紹介することにする。   業界動向の背景 まず、最初に業界動向について簡単にふれる。世界の電子回路基板市場は、日本、韓国、台湾、中国、香港、インド、米国、欧州などにある電子回路基板工業会で構成される上部団体に、世界電子回路業界団体協議会 (WECC=WordElectronic Circuit Council)があり、ここで電子回路基板の世界市場を取りまとめて公表している。2005年以降の世界の電子回路基板市場の推移を示すと図1のようになる。 約600 億ドルの市場規模となっており、2015 年度は少し減少しているもののおおむね世界市場は、リーマンショックの影響を受けた2009 年以外は大きな落ち込みはない。 これは日本の国内の電子回路基板市場動向と大きく異なる。日本の国内での生産規模は、2007 年以降、大幅に減少している。これは国内生産から特に中国やASEAN諸国などでの海外生産へとシフトしたことによる。さらに国内での電子機器の生産減少に伴う需要減も大きく影響している。 国内で生産していた電子機器(民生機器と産業機器の合計)の生産金額は、16.4兆円をピーク(1991年)に今や4.3兆円(2016 年)レベルまで落ち込んでいる。 一般的にモノの生産量は、ゼロからはじまって時間とともに一定レベルでピークに達し、その後、下降線をたどる。この軌跡を縦軸に生産金額で横軸を時間で刻んだ座標平面上に描けば、「へ」の字型の図形ができる。この「へ」の字型を、羽を大きく広げて飛び立つ雁の姿を見立てて、経済学者の赤松要図1 世界の電子回路基板市場 億ドル(WECC)図2 国別電子回路基板市場2015年(WECC)世界の電子回路板用材料業界の動向特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 横浜支部 / 青木 正光