ブックタイトル実装技術9月号2017年特別編集版

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概要

実装技術9月号2017年特別編集版

474. 超薄板ガラス『G-Leaf』 ガラスを数十μmまで薄くすることで、軽くなり、非常に平滑で、フィルムのようにしなやかに曲げることができる。しかも、ガラスなのに巻きとることもできる(図3)。光学特性、耐候性、耐熱性、ガスバリア性などのガラス本来の優れた特性は保持したままであり、これまでにない幅広い分野で技術や製品の進化に貢献する新素材になると期待されている。超薄板ガラス『G-Leaf』は、現在、有機EL 照明やフレキシブルディスプレイの基板への用途開発を進められている。電子ペーパーやタッチパネルディスプレイ、デジタルサイネージ、太陽電池用基板ガラスなど様々な用途に広がる可能性のある材料である。5.『見えないガラス』 一般的なガラスの視感反射率(人が感じる反射率)は片面4%程度で、ガラスは透明でも、反射や映り込みがあるものと思われている。『見えないガラス』は、視感反射率を約0.08%にまで抑えたガラスである。ガラスへの映り込みや光反射が大幅に少なくなるため、店舗のショーケースや絵画の保護カバーなどに最適である。 その秘密は、独自の薄膜技術にある。ナノメータ単位の非常に薄い膜を、ガラスの両面に何層も精度よく成膜する高度な技術で、いろいろな厚さ・屈折率の薄膜を組み合わせることで、反射を極限まで抑えている。高級宝飾店や美術品の保護カバーなどへの採用がはじまっているほか、スマートフォンやタブレットのタッチパネルへの展開など、用途の開拓を進めている。図4は、通常のガラスと『見えないガラス』の比較である。6. 見えないところで活躍しているガラスファイバ ガラスファイバは、樹脂やセメントに混ぜ込むことでそれらの強度が上がるので、建材や自動車部品の材料として使われている。ガラスファイバーという素材は、およそ80 年前に工業化された繊維状のガラスで、建築・土木分野において鉄筋を必要としない新しいコンクリート製品の補強材として利用が進んでいる。 また、自動車やエレクトロニクス機器、住設機器などでプラスチックの補強材料としても用いられており、 幅広い分野で強度、軽量化や耐久性の向上に貢献する材料として活躍している。 日本電気硝子のARG(耐アルカリガラス)ファイバを利用したGRC(ガラス繊維補強コンクリート)では、鉄筋と違って腐蝕の心配がなく、その高い補強効果のため鉄筋がなくても必要な強度を確保した上、部材の厚みを大幅に薄くでき、建物全体を軽量化できる。 建築分野以外でも、水路補修・補強やトンネル壁のはく落防止用など土木分野でも採用されている。 GRC の特徴の一つが、複雑なデザインも型枠を用いて工場で生産できることである。図5 左のような建築の装飾や、2013年に改装なった歌舞伎座の唐破風(からはふ)や欄干など難しいとされた伝統的な意匠が、図5 右のように日本電気硝子のARGファイバで再現された。図5 古い建物の装飾もモジュール化して容易に施工が可能図4 ガラス面での反射が気になる右の場合と「見えないガラスR」ですっきりした左図3 厚さ35μmの超薄板ガラス。巻き取れる