ブックタイトル実装技術9月号2017年特別編集版

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概要

実装技術9月号2017年特別編集版

461. はじめに 琵琶湖の傍にある日本電気硝子の能登川事業場を訪問した。美しい建物の間に小川が流れており、入った途端に良い印象を持った。その小川にホタルがいるとのことだが、訪問した7月は少々遅過ぎたらしく見られなかった。 筆者はガラスの技術についてはまったくの素人であるが、日本電気硝子さんにいろいろ教えていただき、大いに勉強になった。非常に話題が多いので総花的になってしまうが、読者の皆さんにも参考になる話が多いと思われるので、いろいろと羅列することにする。2. ガラスの製法 ロールアウト、プレス、鋳込み、ブローイング、スピニング、ダンナーなどいろいろあるらしいが、フロート法はすずの融液の上にガラスを流してフラットなガラス板を作るそうである。筆者が面白く思ったのはオーバーフロー法で、図1のように溶融したガラスが両側から流れて合体する方法である。その特長は、ガラスが空気にしか触れないため、非常に平滑な表面が得られ、研磨の必要がないことである。大型で薄い板ガラスを成形するのに適した方法である。3. 粉末ガラスによる封止 半導体や電子デバイスの封止では樹脂が用いられる場合が多いが、気密性が万全とはいえないので、長期の信頼性を心配する意見がある。その点、ガラスを溶融して封止すれば万全と言える。日本電気硝子では、ガラス封止について研究され、生産に適用できる方法を確立された。 図2 のように、蓋になるガラス板にガラスフリットを印刷し、セラミック製キャビティに被せる。このまま高温でガラスフリットを溶融すると、中の素子にダメージを与えるので、素子が高温にならないようにする必要がある。そこで、レーザによってフリット部を局所加熱しガラスフリットを溶融し接着する方法が有用となる。この際、レーザの照射条件がかなり微妙で、その溶融条件を確立するのに苦労されたようである。自動運転車やバイオ関係など人命に係わるデバイスでは、超信頼性が要求されるので、レーザによるガラス封止が有効に使われるものと思われる。厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第29回)高度なガラス技術を駆使し、エレクトロニクス業界に貢献している日本電気硝子(株)図2 各種のパッケージに対応したガラス封止。封止用ガラスやLTCCは日本電気硝子で開発されたもの図1 オーバーフロー法でガラス板を作成する 注)LTCC(Low Temperature Co‐fired Ceramics)