ブックタイトル実装技術4月号2017年特別編集版
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実装技術4月号2017年特別編集版
46んだ付け可能な設計基板で行っているが、これでは技術的な向上を図ることはできず、また実基板に対応できない。簡単な個所と難しい個所を混在させることではんだ付けの基本原理を理解し実基板への応用や現場指導を可能とさせる。 本報告内容は、このはんだ付け練習用基板を用いて、はんだ付けの基本原理を温度測定と実際の出来栄えの観察を交えて解説する。2. はんだ付けの基本 はんだ付けの基本は、以下の3つの事項が同時に行われる必要がある。①はんだ付け対象部位がフラックスで覆われ酸化膜を除去 すること②はんだ付け対象部位がはんだの融点以上になること③はんだ付け対象部位にはんだがあること リフロー・フロー・手はんだは、それぞれフラックスとはんだの供給方法および加熱方法が異なるが、基本的な3要素は同じである。手はんだ付けにおいては、やに入り糸はんだを使用することでフラックスとはんだがほぼ同時に供給され、はんだごてから供給される熱ではんだ付け対象部位がはんだの融点以上に加熱され、はんだ付けができる。リフローやフローは基板全体を加熱するいっぽう、はんだごては局所的に加熱されるため、はんだ付け対象部位にこて先を接触させて加熱する際のこて先の熱容量とはんだ付け部位の熱容量および熱の流れをリフローやフロー以上にイメージする必要がある。もしイメージしにくい場合は、実際にセンサを取り付けて温度測定を行ってみると理解できる。 手はんだでは、特に以下の作業方法を考える必要がある。a…はんだごての選定(こて先の熱回復力の速さ(供給能力) が必要になる)b…こて先形状の選定(熱を伝えやすい形状の選定と蓄熱量 (サイズ)を考える)c…こてのあてる方向(こてのあて方により熱の流れが変わ る)d …はんだ送り方法(ホール内へのフラックスの供給)e…糸はんだの線径(太すぎる糸はんだは供給が過剰になり はんだ過多やはんだボールやブリッジの原因となる)f …フラックスの選定 フラックスの熱反応特性によるぬれ性 の差3. 検証実験 写真2 のB 部およびD 部のスルーホールを用いて、熱供給方法と熱移動について検証実験を行った。 フローやリフローは、基板全体を加熱するため、6 層や8 層ベタのスルーホールであっても、容易にはんだ付けが可能である(写真3、写真4)。 手はんだ付けにおいて6 層ベタをはんだ付けする場合、こてのパワーとこて先の形状が重要で、両者のバランスが取れていないと、短時間ではんだの融点まで加熱することができず、はんだ付けができない。 まず初めに、こてのパワーが70W(一般的)と最大150W(平均80W)・最大265W(平均150W)のハイパワーで同じような形状のこて先で比較すると、このパワーが大きい方が基本的に有利な傾向となるが、必ずしもそうでない(図1)。 加熱能力に優れたものを選ぶ上でパワーの数値は目安にはなるものの、こて先の温度センサの位置、ヒータの能力、制御方法などで決まる熱応答性も関係しているものと思われ、実際に温度測定してみないと加熱能力がどの程度かわからないのが現状である。図1でおのおのはんだ面の立ち上がり温度とその後の温度上昇カーブから、こて先の蓄熱量と熱応答性が判断できる。また、はんだ面ランドと部品面ランドの温度差が大きい方が、熱の供給量が多いものと推測する。 次に、こてのパワーが大きかったとしても、こて先の形状が異なると、加熱時間に大きく影響する(図2)。 図2は、はんだごては同じもので、こて先写真4 事例 8層ベタ フローはんだ付け のみ変更した結果である。Dタイプと二写真3 フローはんだ付け 静止層255 ℃