ブックタイトル実装技術4月号2017年特別編集版

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概要

実装技術4月号2017年特別編集版

301. はじめに 1990年代初頭から、プリント基板の部品実装のためのクリームはんだ印刷の分野では、メタルマスクでの「コンタクト印刷」工法が採用され、独自の技術進歩を遂げてきた。 「コンタクト印刷」工法は、通常のスクリーン印刷である「オフコンタクト印刷」工法とはまったく異なる原理の、「時差版離れ」メカニズムを採用している。 「時差版離れ」とは、メタルマスク開口部へのペースト充てんと版離れメカニズムとの間に時間差がある方式であり、クリームはんだ印刷の標準工法となっている。 しかしながら、近年、0402や0201サイズの微小電子部品の実装のため、メタルマスクが狭開口となり、印刷時の「ミシング(欠け)」やクリームはんだ転写量のばらつきの問題が顕著になってきた。 筆者らは、狭開口マスクでの欠けの原因は、パターン開口部へのペースト充てん後、一定時間を経るため、流動体であるペーストの粘度が上昇し疑似固体化した後、「版離れ」させるという「時差版離れ」メカニズムの原理的な問題であると考えている。 いっぽう、通常のスクリーン印刷は、スクリーン版の反発力で版離れさせる原理であり、ペーストをマスク開口部に充てん後、スキージの移動に同期させて、流動状態のまま一瞬で「版離れ」させる。いうなれば「同期版離れ」の原理である。 筆者らは、これまでの時差版離れの「コンタクト印刷」の原理のままでは、印刷途中でペーストを疑似固体化させる必要があり、根本的な「欠け」の問題解決は不可能であると考えた。このため、この問題を解決するために、流動状態のペーストの版離れを実現できる「同期版離れ」と「コンタクト印刷」を組み合わせた、新工法である「同期版離れコンタクト印刷」が最適であると考えた。 今回、スクリーン印刷装置メーカーである(株)ミノグループの印刷技術課の協力を得て、「同期版離れコンタクト印刷」が実現できる装置を製作し、0201部品用の狭開口メタルマスクでの印刷テストを実施した。新工法の「コンタクト印刷」工法に対する原理的優位性と印刷テストの結果を紹介する。2. 背景 通常のスクリーン印刷の原理は、スクリーン版と基板との間に隙間(クリアランス、ギャップ)を設定して、印刷時にスキージによりスクリーン版を押し下げ、移動させながら版の反発力で「版離れ」をさせるものである。 版テンションとクリアランスを適正化すれば、「版離れ」は、スキージストロークに同期し一瞬で完了するため、パターン全面での「版離れ」が一定になり、にじみのない均一な印刷が可能になる。これを、クリームはんだ印刷で広く行われている「コンタクト印刷」に対して、「オフコンタクト印刷」とよぶこともある。 スクリーン印刷の原理では、流動性のあるペーストをにじみなく連続で均一に印刷させるためにも、スキージ移動に「版離れ」を追随させることが最も重要なメカニズムと言える。「オフコンタクト印刷」では、スクリーン版のテンションが低い場合や、ぺーストの粘度が高すぎる場合に、「版離れ」が遅れるため、にじみが発生する。  いっぽう、クリームはんだの「コンタクト印刷」工法では、いったんメタルマスクと基板とを全面で接触させてから、時間差で、機械的に「版離れ」させる原理である。これを通常のスクリーン印刷のケースに当てはめると、「版離れ」がスキージストロークに追随しないで「版が基板に貼りついた状態」となる。 通常のスクリーン印刷の原理で考えると、均一な印刷はまったく期待できない状態である。このためクリームはんだは、コンタクト状態でも、にじみが発生しにくいように粘度を高く、粘り気が少ない性状にする必要があると思われる。また、定期的にメタルマスクをクリーニングする必要性が出て(株)エスピーソリューション / 佐野 康0201部品実装のための「同期版離れコンタクト印刷工法」の提案