ブックタイトル実装技術4月号2017年特別編集版
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実装技術4月号2017年特別編集版
273. 高耐熱性ポリアミド樹脂『ジェネスタ』 『ジェネスタ』は、クラレが原料モノマーから自社開発した独自のポリアミド系スーパーエンジニアリング・プラスチックである(ポリアミドは通称ナイロンと呼ばれる)。 優れた耐熱性、耐薬品性、寸法精度の良い加工や、吸水性が低いこと、繰り返し摩擦に耐えられる特性=摺動性など、優れた成形材料である。 電気・電子部品や自動車部品へその用途を広げている。さらに最近は高温の「鉛フリーはんだ」の使用が広く普及しているが、『ジェネスタ』の高い耐熱性は高い評価を得ている。図1は、その化学構造で、炭素数9のジアミンとテレフタル酸からなる半芳香族ポリアミドである。4.『 ジェネスタ』(PA9T)の特性1. 耐熱性 『ジェネスタ』のガラス軟化点(Tg)は125 ℃なので、ほとんどのエレクトロニクス機器に用いることができる。さらに耐熱性(Tm)は306 ℃なので、SMT(Surface MountTechnology)の鉛フリー化に要求される260℃には十分対応可能である。図2は『ジェネスタ』(PA9T)と他の樹脂との耐熱比較で、PA9Tは全く水ぶくれが出来ていない。『ジェネスタ』は吸水率が低いことも有利な点である。2. 吸水性 『ジェネスタ』の吸水率は、図3に示すようにきわめて良好である。アミドグループのカーボン数9 個と多いため、吸水の原因となるC-N-H基の割合が相対的に少ないことが効いている。3. 金型流動性 『ジェネスタ』は、金型への流動性も優れており、微細な加工ができる。図4は、櫛形流動長評価金型でモールドした時の樹脂の様子で、ガラス繊維の長さが短い場合の交差点での成形状態は良好である。図3図4櫛形流動長評価金型と、それを用いてモールドした試料の交差している部分の成型品内部の繊維観察結果ポリアミドの吸水率はアミド基濃度でほぼ決まる。PA9Tは長鎖ジアミン構造のためアミノ基濃度が低く吸水しにくい