ブックタイトル実装技術4月号2017年特別編集版

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概要

実装技術4月号2017年特別編集版

14実装工程の生産性を向上させるシステム・技術 1  はじめに 近年、マウンタなどSMT機器の個々の性能が高まるにしたがって、それらの高性能な機器により構成された生産ラインをいかに無駄なく、効率よく稼働させるかがますます重要となってきた。 いっぽう、インターネット技術の発展やインフラ整備が急速に広がり、世界のどこにいても安価で高速なインターネット回線を利用できるようになってきた。その技術と環境を広く活用して「モノ」や「コト」を繋げることによって生まれる新たなる生産革新の波として、今「IoT (Internet of things)」及び「M2M(Machine to Machine)」に世界的な注目が集まっており、実装工場の効率運用おいてもその活用が大いに期待されている。 ここでは、最近世界的に注目が高まっている「IoT」「M2M」を最大限に活用し、当社SMT機器を中心にSP(I ScreenPrinting Inspection machine)やリフロー炉などの他社機器との連携まで可能としてSMT生産の総合的な高効率化を実現する、当社の新しいIoT/M2M統合システム『インテリジェントファクトリー』による次世代SMT工場への取り組みをご紹介する。   開発の背景1. 「IoT」と「ユビキタス」 「IoT」は現在最先端のトレンドとして注目されており、一般的には最近の新しいテクノロジーだと捉えられている場合が多いが、実は10年以上前の西暦2000年代初期にトレンドとして注目された「ユビキタス」とほとんど同一思想の「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながる社会を実現させるテクノロジー構想である。当時「ユビキタス」というキーワードはちょうど現在の「IoT」と同様にもてはやされ、展示会などでも盛んにメインテーマとして出展され、特にホームエレクトロニクスを中心に各社が大々的に関連商品や未来予想図を展示していた記憶があり、現在の「IoT」ブームに対する状況と多くの部分でイメージが重なる。 しかし、ある時期を境に「ユビキタス」という言葉はほとんど使われなくなった。その主原因は、要となるインターネット技術に対して当時は通信技術インフラの普及が進まなかった点であると考えられている。具体的には、高速回線の通信費、通信機器やストレージなどが現在とは比較できないほどコストが高く、加えて接続可能な機器自体も少なかった当時では、その利用による効果がいつどの程度享受できるかの算出も困難であり、短期的な効果が見込めない状況での投資は決断しにくいという現実によって普及は一部に留まった。 また、当時はまずホームエレクトロニクスや自動車などの民生機器間での操作連携やデータ共有が特にアピールされていたが、それらの機能が織り込まれるハイクラスの商品を購入するのは一般家庭であり、当時はまだ高速インターネット回線が引かれていない家庭がほとんどであったため、商品の主機能ではない付加的機能のために新たな回線契約に高い費用を追加負担できる一般家庭は多くはなかった。 しかし、現在はその当時とは環境がまったく異なり、すでにスマートフォンやPCなどの民生用高速通信端末が一般に広く普及し、それらの民生家電機器にはLANをはじめとする高速通信機能が標準装備されており、さらに有線のみならず無線の高速通信回線も一般家庭内をはじめ企業や公共施設やホテルなど様々な場所で非常に安価に接続可能であることなどにより、多くの人々がほとんど無意識的に「IoT」技術を使ってすでにその便利さを受け入れている状況となっている。 そのような環境の現在だからこそ「ユビキタス」社会≒「IoT」社会の実現性が現実味を帯び、その過程で生まれる様々な革新的技術や商品への投資の機運が高まっているということであろう。2. いち早く「M2M」機能開発を進めた当社の取り組み いっぽうで、これも「ユビキタス」社会の一端といえるのかもしれないが、同じく西暦2000 年代初期に、ネットワーク通信を主とした産業用途のテレメトリングやセンサネットワークヤマハIoT/M2M統合システム『インテリジェントファクトリー』による次世代SMT工場への取り組みヤマハ発動機(株) / 鳥井 直哉2