ブックタイトル実装技術3月号2017年特別編集版
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実装技術3月号2017年特別編集版
31のノイズはほとんど出てこない。 そこで試しに高周波特性を計測して見たところ25Gbpsというとんでもない数値が出た。通常のコネクタであると5Gbpsくらいが精一杯である。25Gbpsというと中級クラスの光ファイバと同等の性能である。 接触圧力の低さも優れている。従来のコネクタやプローブでは硬い金属で突き刺して接触面積を得るという方法である。これであると金属を破壊するだけの力が必要となる。 低い抵抗値を得るためには何十グラムという圧力で押し込むなどしないと得られない。そのためコネクタは小型化するほど性能が低下し脆弱になるというジレンマを抱えている。 しかし軟らかいゴムボールは、自身が変形することで広い面積で接触するという仕組みである。直径に対して3%も変形すれば5mΩ以下の抵抗値になる。これに必要な接触圧力は2?4グラムで十分である(写真2)。 さらに、振動に対して安定しているという利点もある。従来のコネクタは金属ピンが振動によって動くと瞬間的に電気が途絶える「瞬間断線」という現象が起こる。金属皮膜ゴムボールは、建物を地震から守る免振装置と構造が似ていて、振動をゴムが吸収することで接続面がずれたり離れたりしないためである。 電気特性的には非常に優れているものの脆弱性から世に出ることがなかったわけであるが、どのようにして脆弱性を解消したのか、以下にその話をご紹介する。 熱膨張しないゴムを作るというのは、最初から私も感じていたように不可能なのである。ゴムや柔らかいプラスチックというものは分子と分子の繋がりが弱いことで柔軟に変形できる仕組みである。よって、温度が上がると分子間が開いていく。それでは、と、開かないように分子同士を強固に結合させたらゴムでなくなり、硬い樹脂になってしまうのである。写真1 シリコーンゴムのボールに金属皮膜をしただけのもの。150 ℃で破損してしまう写真220%