ブックタイトル実装技術3月号2017年特別編集版
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実装技術3月号2017年特別編集版
17耐熱FPCプリント配線板技術被覆部の接着剤劣化が進み、絶縁被覆の密着強度が低下する。特に銅箔上の密着強度は、銅箔の酸化も進むため、より低下する傾向がある。密着強度低下による絶縁性低下は、基板の信頼性低下を招くおそれがあるため、高温下に長時間さらされる環境でのFPCの使用は制限されることがあった。 耐熱FPC 耐熱FPCは、カバーレイの接着剤層の材料を見直し耐熱性をあげ、かつ銅箔表面に独自の処理を行うことにより絶縁被覆部の密着強度向上をはかった。レジストインクについても同様に材料の見直しを行った。その結果、高温環境下でも使用可能なFPCとしてカバーレイ被覆材を用いたタイプとレジストインク材で被覆したタイプ、2 種の耐熱FPCをラインアップした。1. カバーレイタイプのFPC特性① 高温負荷時の被覆強度 150 ℃の高温下に放置した際、一般FPCは100時間程度でカバーレイの密着強度が低下するのに対し、耐熱FPCは、150℃の高温下に1,000 時間放置した後でも絶縁材の密着強度(JPCA規格:3.4N/cm以上)を維持することが可能となった(図2)。② 高温負荷時の電気特性 耐熱FPCは高温環境下でも電気特性を維持する。 カバーレイで被覆した構成の耐熱FPCは、150℃の高温下に1,000時間放置した後でも耐電圧はフラッシュオーバー(※ 2)などの異常なし、絶縁抵抗値はJPCA規格値を満足する(表1)。 また表裏2 層を用い配線する両面構造の耐熱FPCでは、上記高温負荷に晒した後においても表裏導体を層間接続するスルーホール部(以降、TH)(図3)の抵抗変化率はJPCA規格値を満足した(図3、図4)。(※ 2)フラッシュオーバー:大気中で、電位差のある導体間に過剰の電圧が印加されることにより、アーク放電を維持するに十分なだけイオン化された経路が形成されたときに起こる放電。基板においては絶縁体表面に沿って放電を生じる絶縁破壊現象。沖電線(株)4表1 高温負荷時の電気特性図3 FPCの片面構造および両面構造図4 高温負荷時(150 ℃)でのスルーホール導体抵抗変化率図2 高温負荷時(150 ℃)での絶縁被覆- 銅箔面間のカバーレイ密着力比較