ブックタイトル実装技術1月号2017年特別編集版

ページ
40/48

このページは 実装技術1月号2017年特別編集版 の電子ブックに掲載されている40ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

実装技術1月号2017年特別編集版

581. はじめに 近年、市場ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短縮化の進展に加え、グローバル競争の激化に伴う短納期化、低価格化が加速している。このような外部環境の変化に対応するために、製造現場ではIoTを活用したマスカスタマイゼーションの実現が急務となっており、検査装置メーカーには新たな役割が求められている。それは、生産設備とのM2M連携(フィードバック/フィードフォワード)を通して生産設備の精度の維持向上を図り、設備稼働率を向上させ、生産効率を最大化することでマスカスタマイゼーションの実現に貢献することである。加えて、近年の部品サイズやパッドサイズの小型化の進展に伴い、生産設備への正確なM2M 連携を実現するには絶対精度が必要不可欠となっている。 これに対して当社が提供するソリューションはサイドカメラ付きフル3D自動外観検査装置、BF-3Diシリーズである。本装置は用途に応じてBF-3Di-L1(LL 基板対応)、BF-3Di-Z1(XXL 基板対応)、BF-3Di-D1(Dualレーン対応)の3タイプをラインアップすることで多様な市場ニーズに対応している。さらに、高い絶対精度を保有しているため生産設備への正確なM2M 連携の実現が可能である。 今回は、パナソニックとのM2M連携で実証された絶対精度の必要性に言及した上でそれを実現するための当社独自技術を中心に説明する。2. 絶対精度が必要な背景 一般的に部品位置の設計座標と検査装置での検出座標のずれの要因として、検査装置側の変動と基板側の変動による要因が考えられる。たとえば熱膨張による軸の変形や、FPCに代表される薄型基板による基板の伸縮である。近年の部品サイズやパッドサイズの小型化、基板の薄型化により、検査装置側の変動はもちろんのこと、基板側の変動についても無視できない状況となっている。仮に、絶対精度を考慮せず、検査装置側の変動と基板側の変動を混同した場合を考えてみることにする。たとえば、基板の伸縮がないが、検査装置側の変動により検出座標がずれていた場合、前段設備に誤った情報をフィードバックすることになりM2M連携による生産性の向上は期待できない。以上の背景から、検査装置側は装置側の変動と基板側の変動を区別し、基板側の変動成分のみを前段設備にフィードバックする必要があるため絶対精度が必要不可欠となる。絶対精度の実現のためには前提として検査装置の高い組み付け精度や高剛性構造が必要不可欠である。加えて高精度な装置キャリブレーションによって絶対精度を保証することが可能となる。この状態を維持し各ずれ量を計測することにより、基板伸縮成分のみ取り出すことが可能となり前段設備への正確なフィードバックが実現可能となる。 以上から、生産設備への正確なフィードバックを実行する上で、検査装置の高い絶対精度が重要な要件となることがわかる。3. 生産設備との正確なM2M連携を実現するための  独自技術 当社は高い絶対精度を実現する上で重要な要件である剛性の高いガントリ構造を有している。具体的には、①それぞれの軸の平行垂直を実現する高剛性構造(図1)、②Y 軸において両軸モータドライブを採用することによる安定した位置決め精度(図2)、③リニアスケールによる高い停止精度、④独自の基板面補正によるピクセルごとの高精度な反り補正(図3)や、その他の独自ノウハウにより、絶対計測に基づく周辺設備への高精度なフィードバック/フィードフォワードが実現可能となる。 以下が絶対精度の高さを示す実証結果である(図4)。5時間連続稼働時の蒸着マーク位置検出座標を計測し、規格値±10um以内の精度を5時間運転にてCPK1.0以上の絶対精度を実現している。 本装置が、熱膨張による変動の影響を受けない剛性の高い(株)サキコーポレーション/渡部 康夫M2M連携に不可欠な絶対精度を有する3DAOIの技術開発