ブックタイトル実装技術12月号2016年特別編集版
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実装技術12月号2016年特別編集版
23精密荷重制御機構を用いた焼結接合装置による高耐熱パワーデバイス実装半導体実装で加圧する方法では、温度や圧力の均一性を保証することが難しい。また、荷重下の銀ペーストはダイラタンシー性により流動性を失っており、弾性体金属として10GPaオーダーの高いヤング率をもつため、ペースト内部の圧力を均等に精密制御することは困難である。 このような問題を解決し、大量生産を見据えて多数のチップを正確にダイアタッチするために新規に荷重機構を開発した。開発した焼結接合装置の荷重ユニットの概要と写真を図2に示す。基本的な荷重方法として回転中心を持つ腕木に錘を付けた機構を採用し、この荷重機構を同一の回転軸に並列に取り付けることで多数の半導体ダイチップへの個別加圧を実現する。腕木による「てこ」の原理から、錘に働く重力以上の荷重をチップに与えることが可能になり、錘の大きさや位置を調整することで精緻な荷重制御を実現する。全高は30mm以下に収まり、今回用いたUnitemp社製RSS-450-210リフロー炉(チャンバサイズ210×210×t40mm)の狭い空間に問題なく収まっている。錘の大きさや位置を変えることで、装置の全高を変えることなく1.5kgf以上の高荷重まで対応できる。また、チップに接触する部分には耐熱樹脂であるテフロン球を用いており、チップへのダメージを抑えるとともに、点接触による荷重を実現している。点接触荷重はチップ下のペーストにかかる圧力を均一化して焼結状態の内部構造を一様に保つ効果がある。同時に、チップから荷重部への熱伝導を抑制し、プロセス温度の均一化にも寄与する。 今回の試作では、TO-247リードフレーム上に2×2mm、厚さ525μmのSiダミーチップを銀ペーストを用いてダイアタッチ接合した。Cu-Zr耐熱銅基材で作られたTO-247リードフレーム表面はNi/Ti/Agを、ダミーチップの裏面はTi/Agをスパッタリングによりメタライゼーションしている。焼結プロセスは大気中250 ℃で30 分、加圧は0.4MPaとした。試作した10連リードフレームの焼結ダイアタッチのせん断強度の測定結果を図3に示す。横軸は図1に示したデバイス番号に対応する。従来のように複数チップにまとめて荷重をかける方法では、せん断強度が大きくばらつき(図3上)、中央部と端部では10倍近いばらつきを生じている。仮に、せん大阪大学 産業科学研究所図3 TO-247リードフレーム(10連)にダイアタッチしたチップのせん断強度分布図2 新規開発した荷重機構と小型リフロー炉の構成