ブックタイトル実装技術11月号2016年特別編集版

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概要

実装技術11月号2016年特別編集版

39●スプレッド社は、京都府亀岡市に巨大な植物工場を持ってお り、1日2 万株の葉野菜を全国のスーパーや百貨店に出荷 している。●半導体商社の東京エレクトロンデバイスは、LED照明で葉 物野菜を収穫直前まで育て、それをレストランなどの栽培 設備に移して新鮮野菜を顧客に提供できる事業を始めた。●バイテックHDグループは、鹿児島県入来工業団地に、人工 光植物工場を建設し、レタスなどの野菜を栽培する。●キーストンテクノロジー社は、新横浜のビルの一室に農園 を作り、野菜を作るとともにデモルームとしている。2. 植物工場の建設はプレハブの経験で 植物工場を新たに建設するには、プレハブが良いと思われる。図3はジャパンドームハウス社の少々毛色の変わったプレハブで、発泡ポリスチレン製のアーチ型ドームで、断熱性が良く、風、地震、火災の強く、短納期である。プレハブといえば積水化学工業もアグリ分野に進出して、ハウス組立用機材、遮熱板、水耕パネル、雨水貯留、コンテナ類など揃えている。3. 太陽電池を載せた畑 太陽光を有効に利用している例がある(会社名は失念)。透過型の太陽電池で、図4のように植物の生育に有効な光のみを通し、生育に不要な光で発電する。まだ発電量は少ないようであるが、アイデアは面白いので、今後の研究に期待したい。4. 農業に経験だけない新しい知恵を 農業へ進出した企業では、植物栽培は工場での物作りのように計画的にはできずに苦労している例が多いが、町田市の協力10 社ではじめたメロン栽培は、農業経験者が一人もいなかったにもかかわらず、いろいろな工夫を重ねて、無農薬、低コスト、高品質なメロンを栽培され、ビジネスとして成功している。特に水耕栽培で根腐れを起こさないための水流管理に独特の技術を開発し、他にも従来の方法にこだわらないで新技術を積極的に導入しており、通常は一株から数個の実がなるのを、多いときは60個も採れるというから驚きである。メロン以外にも可能性があるとのこと。植物の生長は科学的には未知の分野というべきで、まだまだ画期的な新技術が現れる可能性があると思われる。 面白い話を上智大学の堀越智准教授から聞いた。マイクロ波を植物に当てると生育が2 倍に早くなる。生育の初期の頃に一度あてるだけでよい。植物は何億年も太陽の光を受けて遺伝子を完成させたが、マイクロ波は自然界に存在せず、初めて照射された植物は大きなストレスを受ける。植物はストレスを受けると異常な反応を示し、成長が伸びるらしい。トマト、じゃがいも、レタス、とうもろこしで確認し、味も変わらず、遺伝子も変化しない。また、水が少ない環境でも生育するので、砂漠の緑化にも貢献できる可能性がある。ビジネス化を検討するそうである。5. 新鮮野菜の梱包技術 梱包された野菜は、まだ生きている。住友ベークライトは、フィルムにミクロの穴をあけ、酸素や炭酸ガスの透過量を設定でき、青果物が呼吸を続けるための低酸素、高二酸化炭素の平衡状態を保ち、青果物の冬眠状態を作る。青果物の種類によって、微孔の大きさや数を決める。このフィルムの使用によって、生産から消費までの時間を長くすることができ、消費者は新鮮な野菜を得ることができ、栄養も損なわれないという素晴らしい包装材である(図5)。図4 太陽光の有効利用;太陽電池のパネルを被せた畑。植物に必要な波長の光は通し、必要でない光で発電する図5 気体の透過量を調節できる包装。青果物を新鮮に保つことができる図3 ジャパンドームハウス社の発泡ポリスチレン製の植物工場ハウス