ブックタイトル実装技術11月号2016年特別編集版

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概要

実装技術11月号2016年特別編集版

301. はじめに 2011年3月11日、東日本大震災が発生し、津波による原発事故以来、計画停電も経験し、多くの一般の人が電力不足でエネルギーの重要性を認識したものと思う。 そして『再生可能エネルギー』に熱い視線が注がれたといってもよいと思う。原子力発電に依存する体質から、脱原発を掲げつつ『再生可能エネルギー』を高めながら少しでも早く脱原発を実現することを認識したと思う。 さて、このような流れに対して、『再生可能エネルギー』の導入状況を、現場に行って自分の目で確かめるべく、全国を歩いてみようと思った。 今回、紹介するのは、2011 年以降に現地を訪問して『再生可能エネルギー』関連を取材したなかで、北海道、本州、四国、九州での「風力発電」、「太陽光発電」、「地熱発電・地熱利用」などの展開状況の一端を紹介したい。2. 風力発電 風車は有史以来4000年の歴史があるといわれており、最近の風力発電機は ①塔(タワー) ②三枚の羽根(ブレード) ③ナセル(発電機、増速機、制御装置)からなり、部品点数は1万?2万点の多い機械となっている。 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の発表によると2015年3月末現在、日本全国に2,102基の風力発電機が導入され、総発電設備能力は311.7万kWに達したという。 導入された風力発電機がすべて稼働すれば、原発3 基分の発電出力に匹敵することになる。再生可能エネルギーである風力発電だけで原発3基分に相当するのであるから、日本全国に導入された風力発電機を集めれば「塵も積もれば山となる」ことを示していると思う。 風力発電所の元祖ともいわれる場所に最初に訪問したのは、青森県の「竜飛崎」あった。当時、青函トンネルを掘削する現場であり、ずいぶん前に訪問し、その後、2013 年に再訪問して風力発電機を見ている。石油危機後、米国は1980 年にアルタモント峠に風力発電所を建設し、再生可能エネルギーを確保することで進みはじめた。日本は、遅れること10 年後の1991年に国内初のウィンドファームの実証実験が青森県竜飛崎ではじまり、300kW 10 基が導入された場所でもあった。この場所は、風の強い場所として知られる。 次に風の強い場所は北海道の「苫前」であったことを苫前町長の風力発電に関する講演で知ることになる。苫前町がどこにあるかも知らない筆者は、まずは現場に行って風力発電機を見ようと思った。 以下、北海道苫前町から順番に『再生可能エネルギー』関連の取材結果を報告する。1. 北海道・苫前町の風力発電設備 苫前を訪問するために調べてみると、鉄道時刻表では出てこない。鉄道は廃線となり、鉄道では留萌までしか行かず、それからバスで苫前町まで行くしかないことが判明した。留萌駅から沿岸バスに乗車すると232号線の海岸線を走り、海岸NPO 法人 日本環境技術推進機構 / 青木 正光『再生可能エネルギー』の現場を見る表1 上平グリーンヒルウィンドーファーム