ブックタイトル実装技術11月号2016年特別編集版
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実装技術11月号2016年特別編集版
261. はじめに パワーサイクル試験とは、JEITA ED4701/600に [ 半導体デバイスの環境および耐久性試験方法(個別半導体特有の試験)] に規定された試験方法であり、半導体パワーデバイスに電気的ストレスをオン、オフの状態で周期的に加えた場合の温度変化に対する耐久性を評価する方法である。これまでは、パワーサイクル試験で温度を測定するために、熱電対がよく用いられていた。 しかし、当社では、当初から熱電対の応答性、周囲温度やパッケージの状態による熱抵抗の変動を考慮し、より正確にチップ内部の温度を測定する方法として、チップ内部にあるダイオード(以後、内蔵ダイオード)の温度特性を用いてTjを測定してきた(以後、Tjを測定し、既定の温度差ΔTjになるように電流や電圧を制御してパワーサイクル試験を実施することをTj 制御とする)。SiCが近年Siに代わる新しい材料として注目されており、すでに製品化も進んでいる。 今回は、SiC 特有の問題点、およびその対策について述べ、SiC の内蔵ダイオードを用いてパワーサイクル試験が実施可能か検証した。2. パワー半導体の内蔵ダイオードと温度特性 内蔵ダイオードによるTj 制御を行う場合は、内蔵ダイオードの温度特性を調べる必要がある。内蔵ダイオードの温度特性は測定とシミュレーションを行い、測定した各サンプルの内蔵ダイオードのVF 値に対して、直線性、およびシミュレーションから算出したVF値との整合性を調べた。 今回は、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET の代表サンプルとして、RGCL60TS60D(以後、IGBT)、R6046FNZ1(以後MOSFET)、SCT2080KE(以後SiC MOSFET)の3 種類を用意した。各サンプルはいずれも市場に供給されているデバイスで、データシートやSPICEモデルも簡単に入手することが出来る。内蔵ダイオードのVF 値を測定する条件は、IF=10mA、Vg=0、?5Vで測定回路を図1、測定値とシミュレーション(SIMetrix) から算出したVF 値を図2に示す。Vg=0Vは従来の方法、Vg=?5Vは各サンプルのゲート電圧の立下り時間の短縮を目的に行った。内蔵ダイオードのVF値を測定した結果、IGBTとMOSFETは、Vg=0Vと?5Vで同程(株)クオルテック / 小柴 悠資内蔵ダイオードを用いたパワーサイクル試験?新デバイスSiCによる試験検討?図1 温度特性取得に用いた測定回路図2 各デバイスの内蔵ダイオードの温度特性