ブックタイトル実装技術10月号2016年特別編集版

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概要

実装技術10月号2016年特別編集版

37る3 次元インダクタコイル(図1)は、より安定した高いQ 値を得ることが可能となり、性能がより向上したRF IPDデバイスを実現できる。4. ECTCでのガラスへの導体形成動向 米国ラスベガスにて、 2016年5月31日(火)? 6月3日(金)、世界最大規模の実装学会である第66回 ECTC2016が、IEEE/CPMT (Components Packaging andManufacturing Technology) 主催のもと、アメリカ22 州と世界26か国から集まった1,455人の参加者とともに開催された。 応募総数649件の中から選ばれた392件(採択率60%)の実装技術研究最先端論文から、252 件の口頭発表セッション(常時6セッション並行進行)と129件のポスターセッションが夜遅くまで実装討議がなされた。 このECTC2016では、ガラスやTGV 関連するものだけで、計26件の発表があり、シリコンや有機材料に代わるガラスインターポーザ、ガラスの優れた電気特性に着目したRFデバイス、ガラスの透明性に着目した光実装基板などの作製、TGVを用いるガラス基板としての特性評価などが、アメリカ、日本、台湾の大学、企業を中心に報告された。ガラス基板実用化における課題の一つとされてきたビア形成についても、改善された報告があり、課題が一つずつ解決され実用化に近づいている。 5. 今回の論文発表の内容 現在、電子部品の絶縁材料としては、エポキシ、ポリイミドやセラミックスなどが用いられているが、先端電子部品では、さらなる高性能化に対して材料特性上限界が迫っている。これらに代わる材料として半導体シリコンを用いたTSV (Through Silicon Via)によるシリコンインタポーザが検討されてきたが、シリコンは材料費も高く、ウェハの大面積化&パネル化も難しいことから、シリコンインタポーザは一部のハイエンド製品へのみに使われていくと予測される。 ガラス基板は優れた耐熱性、耐薬品性、高い透明性と非常に滑らかな表面を有し、多くの工業製品に使用されており、シリコンと同等の熱膨張係数をもちながら、シリコンよりも優れた電気的特性を有する。ガラスはシリコンに比べ材料費が安く、大面積パネル形状基板の作製が容易であり生産性も高く、近年ではTGVによるガラスインターポーザの開発が盛んに行われている。 ガラスは高い絶縁性、少ない伝送挿入損失を持っていることから、RF部品基板としても優れた特性を持っていることが報告されている。このように素晴らしい特性を有するガラス材料であるが、量産実用化への技術課題の一つとして、実用に堪えられるCu膜形成が難しいことが挙げられる。 我々は、これまでに大面積基板やビア内部への均一成膜への対応が容易で、安価な手法である湿式めっき法を用いることで、ガラス基板上に直接Cu膜形成を行う方法について提案し開発をしてきた。 ほぼすべての工程が水溶液中の処理、いわゆる湿式法で行うこと、従来のプリント配線板に代表される電子基板の製造と酷似したプロセスであることから、量産性に優れ、TGVなどの狭小領域への均一析出性が求められる場合でも十分対応可能である。 以下に、今回の湿式めっき法を用いた3D RF IPDデバイスの製作について述べる。1. TGV 3D IPD工程 3D TGVインダクタとMIM (metal-insulator-metal) 膜形成プロセスフローを図2に示す。図2 TGV 3Dコイル先形成、MIMキャパシタンス後形成工程フロー(a)穴形成済ガラスウエハ、(b)湿式法によるCu シード層形成、(c)両面パターンおよびインダクタ形成、(d)MIM 膜形成、(e)MIMパターン形成、(f)絶縁層形成、(g)Cu 接続パット形成、(h)ソルダレジスト形成図1 TGV 3Dインダクタコイルのイメージ(a)(f)(g)(h)(b)(c)(d)(e)