ブックタイトル実装技術10月号2016年特別編集版
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実装技術10月号2016年特別編集版
361. はじめに スパッタシード層なしでのガラスへの湿式Cu 直接めっき技術を開発し、米国Qualcomm 社の3D 構造RF IPDデバイス(写真1)へ適用した成果を、第66 回 ECTC (ElectronicComponents & Technology Conference)2016にて、共同発表を行った(写真2)。 実装の分野ではあまり知られていない江東電気(株)は、約70年前に映画撮影用大型電球の製造から始まり、最近はハリウッドスタジオ撮影用ランプや北京オリンピックメイン会場に設置されたムービングランプのすべてを供給するなど、特殊用途ランプ製造・販売を行っている。40 年ほど前からランプ製造で培ったガラスと金属を封着させるハーメチックシール技術にめっき技術を加え、水晶振動子用のメタルパッケージを製造し、現在では世界需要のほぼ半数近くを生産している。さらに特殊分野として航空機用特殊表示素子を世界で唯一供給しているグローバルニッチ企業である。 また、大学の知の活用も積極的に行っており、特に関東学院大学 材料・表面工学研究所のコンソーシアムでは、産学共同でいろいろな取り組みを行ってきた。そこで得られた最先端めっき技術の経験が、高速伝送用基板のめっき前処理用特殊UVランプや今回のガラスめっき技術の開発に繋がった。 このように創業以来、ニッチな分野において、長年培ってきたガラス材料の取扱いや様々なめっき技術の経験を応用し、世界最大規模の実装学会ECTCで発表したTGV (ThroughGlass Via) Cuめっき技術を紹介する。2. ガラスへのCuめっき技術 今までは、ガラスにCu 直接めっきすることは難しく、十分なピール強度を得ることができないため、スパッタによるNi、Ti、Crなどのシード層形成手法、プリカーサによるゾルゲル法での研究などがなされてきた。 スパッタ法ではTGVビア内壁への均一成膜や両面同時シード層形成が困難であること、ゾルゲル法では、安定的なピール強度の確保が難しいことやプロセス時間が長いなどの課題がある。 また装置制限から大面積化が難しく、コストが高いなどの問題から量産化は限定的もしくは至っていない。今回、開発した手法は、スパッタシード層を必要とせず、通常のプリント配線板へのCu 導体層形成と同様の湿式Cuめっきでありながら、無アルカリガラスにおいても0.4 kN/m 程度のピール強度を実現した。3. RF 3D IPDデバイスへの応用 ガラス基板表面に2 次元で形成する2D 平面コイルに比べて、ガラス基板両面配線をTGVによる接続することで形成す江東電気(株) / 井上 浩徳スパッタシード層なしガラスへの湿式Cu直接めっきTGV技術写真1 RF 3D IPDデバイス写真2 ECTC2016での発表の様子