ブックタイトル実装技術8月号2016年特別編集版

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概要

実装技術8月号2016年特別編集版

381. はじめに 今月は、MEMS の技術について勉強しよう。MEMSといえば東北大学が世界最高の技術レベルを誇っているが、その支援の下に設立されたベンチャーがメムスコア(株)である。2001 年の設立で、東北大学の研究成果をビジネス化することが目的であったが、紆余曲折を経て15 年経ち、MEMS の開発を請け負うファウンドリとして発展されている。MEMSの生産ではなく開発を請け負う会社というのは世界的にも珍しい。請け負いではない自主開発品も増えつつあるそうである。社員は30 人であるが、経理・総務が3 名、それ以外は技術者または技術補助の人たちというまさに技術会社であり、人件費が60%を越えると聞いて驚いた。また、6インチの試作・生産ラインが完備しており、リソグラフィ、CVD、RIE、スパッタ、EB蒸着機、めっき装置、陽極接合、CMP 装置、ワイヤボンダ、各種の検査機など、MEMS開発に必要な機器も完備されている(図1)。 仙台の泉工業団地にある本社・工場をお尋ねし、専務の小切間正彦氏に話を伺った。2. MEMSとは MEMSとはMicro Electro Mechanical System の略で、日本語なら微少電気機械システムとなるが、10年ほど前には、マイクロマシンと呼ばれていた。マイクロマシンは日本語では微小機械であるが、MEMS の場合は、機械・電子・光・化学などの多様な機能を集積したという意味になり、一般にはMEMSが用いられている。基板は主にシリコンやガラスで、製造技術は半導体LSIの流用が多いが、LSIがナノメートルの微細化に進んでいるのに対して、MEMSはミクロン単位のパターンで十分な場合が多い。したがって、LSI の古い装置などが有効に活用されている。ただし、MEMSは稼働部分があるのがLSIとは大きな違いで、このための特有なプロセスが必要である。メムスコア社には当然ながら、これらのMEMS 特有のプロセス装置が完備されているので、それらを紹介する。3. MEMSのプロセス紹介1. リソクラフィ 露光パターンの寸法は、露光の波長に比例するので、LSIではArFエキシマレーザ(波長193nm)が用いられているが、MEMSでは水銀ランプのg 線(436nm)やコンタクト式露光機が用いられる。LSIにはない装置としては、ウエハの裏表の位置合わせができる露光機がある。マスクを製作するためのパターンジェネレータや、レーザ光源の直接描画装置もある。2. 深堀エッチング 開口が20μmで深さが200μm のアスペクト比10 程度の井戸のような異方性深堀エッチングは、MEMSの構造上しばしば用いられる。一般にはボッシュ社が開発したボッシュエッチ法が用いられ、図2 のように少しエッチングすると側壁保護膜をつけ、さらにエッチングして側壁保護膜を付けるのを厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第18回)優れた技術力でMEMS業界の中堅企業として発展するメムスコア(株)図1 各種の装置の中の一例ALD装置(ALD:Atomic Layer Deposition)CVD 膜付け装置の一種であるが、基板資料表面にガス分子を単分子層だけ吸着させ、これを繰り返すことによりナノメータの薄膜層を形成する