ブックタイトル実装技術7月号2016年特別編集版

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実装技術7月号2016年特別編集版

381. はじめに TOTO(株)(以下、TOTOと略す)と言えば、皆さんは温水洗浄便座『ウォシュレット』を思い出されるかも知れない。事実、売り上げの大半は『ウォシュレット』や便器などの水まわり設備機器であるが、100年余り前から衛生陶器を中心としたセラミック製品を製造されており、そのノウハウの蓄積により、エレクトロニクス関係の優れた製品を多数製造・販売されていることも、ご存じの方が多いであろう。今月は、TOTO の東京汐留事業所をお伺いして取材させていただいた。2. 歴史とセラミック事業 非常に古い伝統を持っている企業で、ルーツは1873 年(明治9年)の森村組からで、森村組の創立者たちが立ち上げた日本陶器合名会社が幾つかの企業に分かれ、1917年(大正6年)に東洋陶器(株)ができ、1970年に東陶機器(株)となり、さらに2007年にTOTO(株)と社名変更して現在に至っている。(株)ノリタケカンパニーリミテドや日本ガイシ(株)も森村組から分かれた兄弟である。 TOTOの2015年度の売上は5678億円、営業利益は461 億円であるが、1984 年に発足したエレクトロニクス関連商品を扱うセラミック事業部の売上は106 億円で、これから伸ばして行きたい事業である。生産拠点は大分県中津市と茨城県桜川市にあり、総合研究所が神奈川県茅ヶ崎市にあって、全て国内で生産・開発を行っている。以下にセラミック事業部の主な商品を紹介する。3. ボンディング・キャピラリー 半導体のボンディングとは、チップの配線層とリードフレームの間を銅線(金線の場合もある)で接続するもので、読者の皆様は十分ご存じと思われるが、念のため図1に概略を示しておく。同図左のように、銅線(または金線)を放電加工でボール状にし、キャピラリーを押し付けて超音波で酸化膜薄膜を破壊し、半導体チップのアルミ電極にボンディングする(=以下、1stボンディング)。ついで、キャピラリーをリードフレームへ移動させ、同図右のようにボンディングし、銅線を引っ張って切断する(=以下、2ndボンディング)。このキャピラリーをTOTOが生産しているが、その材質は硬いセラミックとはいえ、厚木エレクトロニクス / 加藤 俊夫シリーズ・企業訪問 きらりと光る優良企業(第17回)セラミック技術を活かして、エレクトロニクス業界に貢献するTOTO(株)図1 半導体チップとリードフレームを銅線で接続する図2 250万回ボンディングした時のキャピラリー表面