ブックタイトル実装技術5月号2016年特別編集版
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実装技術5月号2016年特別編集版
27洗浄液の適切な選択 ― 環境保全だけでなくランニングコスト・健康リスクを低減させる ―環境関連技術を比較的安易に使用できる風潮があることは否めない事実である。 化学物質に対する動向と 電子デバイス業界の対応 近年、胆管がんをはじめとする、化学物質の作業時暴露による健康被害に関して意識・関心が高まりつつあり、大手企業を中心に、自主的なリスク物質使用を控える取り組みを実施する動きがみられている。 このような動きは「2020 年目標」を見据えた化学品の規制の新設・改正が進められている動きとも同調しており、各国でも化学物質規制の見直しを行っている。 欧州ではREACH規則による統制が着実に行われ、アメリカでもTSCA改正が見込まれており、今後大幅な規制見直しとなる可能性が非常に高くなっている。 また、中国・韓国・台湾といった近隣諸国も化学物質の取り扱いに関する規制を強化している。 日本においても安全衛生法の改定により、一定の危険・有害性が認められる物質640 品目を対象にリスクアセスメントが義務付けになるなど、法令規制の強化が今後も続いていくと考えられる(今年6月1日施行)。 電子デバイス産業分野でもこれに同調する動きがみられていて、油系洗浄液として用いている「有機溶剤」の使用を企業独自の取り組みで控える動きが徐々に見られている。特にパレット洗浄・メタルマスク洗浄工程における炭化水素系、IPAの水系洗浄剤への置き換えが目立ってきており、今後もこの動きは加速していくものと考えられる。しかし、乾燥性の重視・部材の耐水性といった技術的な観点や水系洗浄剤導入によるコスト面から置き換えが難しい事象もあるのは事実であり、企業間での取り組みに対する温度差は非常に大きい。 著者としてはすべてを急激に置き換えるのではなく、可能な部分から少しずつ検討を重ねていき、トータルバランスを考慮したうえで、もっとも適切な洗浄液を「選択」していく事が重要ではないかと考える。 当社における水系洗浄剤の分類 昨今は各企業が技術力を駆使し、油系に劣るとされていた水系洗浄剤の性能も改善しつつあり、多くの場面で代替え使用されてきている。乾燥性といった観点ではアルコールとの混合溶液、洗浄力を担保する場合は引火性の低い炭化水素とのブレンドなど、多種多様の水系洗浄剤が生み出されている。結果として多種の品目が乱立しつつあり、その定義は企業により様々な解釈がなされ、明確な定義付けは難しいものとなっている。 そうした中で運用に際しては水成分比を確認することが必須であり、水の成分比が低ければ、有機溶剤をはじめとする他成分が多いため、防爆構造・局所排気といった安全面を十分にケアする必要性がある。 また各種法令に定義上非該当であるが、成分比によっては引火点や毒性があるため、注意が必要である。 ここで当社の水系洗浄剤の定義を紹介させていただきたい(図1)。ゼストロンジャパン(株)3表3 規制対象になる条件と排出基準(洗浄施設に関して)表2 水系洗浄剤の改善点図14