ブックタイトル実装技術5月号2016年特別編集版
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実装技術5月号2016年特別編集版
16環境関連技術 1 はじめに 資源に恵まれない日本は、電力源の燃料の大半を海外に依存している状況で、国内で石油がほとんど産出しない日本は、資源確保で大きな課題を抱えている。 戦後、国産資源を使って水力発電(79%)/石炭火力発電(20%)で電源を得ていたが、流体革命の登場で、徐々に石油火力発電が増加していき、電力源の燃料は、1975年には石油火力発電が全体で62%も占めるまでになり、海外依存度が高まっていった。ところが、1973 年と1979 年の2 度の石油ショックを経験し、インフレ、デフレ、高金利による不安定な時代となり、省エネ、節電が合い言葉になって「省エネ機器」、「軽薄短小化機器」の開発が進展し、「マイクロエレクトロニクス革命」が起こった。 その結果、エネルギー効率を高め、省エネが進展するとともに、さらに反省点として「石油火力発電」偏重から「天然ガス発電」と「原子力発電」も導入してエネルギーミックスへと舵を切った経緯がある。そして2000年には「天然ガス発電」が28%、「原子力発電」が34% まで占めるようになった。 ところが2011 年3月11日に発生した東日本大震災による津波によって全電源を喪失して福島原子力発電所が炉心溶融するという大事故となった。原発の安全神話が崩れ、その結果、他の大半の原子力発電所が停止するとともに、図1に示すように電力源の燃料は再度、天然ガス、石油、石炭などの化石燃料に依存する形となった1)。 日本のエネルギー自給率(原子力を国産とする場合)は東日本大震災前の2010 年は19.5 %で、大震災後の2014年には6%へと減少した。減少分は原子力発電所の停止によるものである。 温暖化対策には原子力発電が二酸化炭素排出量が少ないことから有力とのことで原子力発電が環境対策からも重要視されて約30%を占めるまでになったものの福島原発事故によって見直しが迫られている状況でもある。 二酸化炭素の含有量も400ppmを超え、今、地球温暖化対策が急務の状況の中で、電力源の燃料に関して大きな変革が求められる時期となってきた。 解決策の一つとして「水素社会の構築」が浮上してきた。今回の環境特集はクリーンエネルギーと称される「水素」に注目して、水素にまつわる歴史にふれ、水素社会の構築に踏み出した現状を紹介するとともに水素社会の将来も展望してみる。「水素社会」の到来特定非営利活動法人日本環境技術推進機構/青木 正光図1 電源別発電電力量構成比推移 <10電力計(受電を含む)>