ブックタイトル実装技術3月号2016年特別編集版

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概要

実装技術3月号2016年特別編集版

412. 接合技術 ものとものを接合するには、一般に接着材が用いられる。ただし、SiウエハやMEMSなどの電子部品では、接着剤などの異物質が間に挟まれることを嫌う場合が少なくない。そこで、接着剤なしで直接接合する技術が開発されている。図2のような酸素を挟んだSi-Siの接合は比較的以前から用いられている。強い接着力を得るためには、当然ながら異物が混入してはならないので超クリーンな洗浄が要求され、表面をO-h(酸素?水素)終端にするため、HNO3 のようなウエット系の薬品で処理する。更にN2またはO2によるプラズマ洗浄が行われ、常温で接合される。最も凄い技術は、原子的に見ても完全フラットな面と面を無加熱で接合する方法であろう。原子的スケールではフラットとはいえない場合は、加圧することにより2 枚の面を接触させることになる。金属などは空気中の酸素と反応して酸化被膜ができているので除去する必要があり、洗浄技術やプラズマで剥離することが行われている。これらの接着技術を表1にまとめた。「原子的フラットで無加熱、低加圧で接着する」と簡単に言っても、これは大変な技術である。3. スラリの製作 スラリは、被研磨の材料によって薬液の種類や濃度を決めるが、受託加工している被研磨物は、金属、半導体、絶縁物と多岐にわたり、Siやガラスが多く用いられるが、それ以外にも、単結晶酸化物(LiNbO3、LiTaO3、Al 2O3など)、多結晶材料(Poly-Si、SiC、Al2O3/YAGなど)、金属(Au、Pt、Ag、Cu、Ti、TiN、Ni、W、Al、Sn、Pb、Znなど)、セラミックス(アルミナ、フェライト、ジルコニアなど)など、非常に種類が多い。それぞれに適したスラリを開発する必要があるわけである。砥粒の種類や大きさ、エッチャントの他に、インヒビター、酸化剤、保存安定化剤、接触角調整剤、増粘剤、潤滑剤、段差解消性向上剤、pH 緩衝材などを調整する必要があり、これらの点が重要なノウハウとなっている。4. D-process社のクリーンルームの設備 今回、土肥社長のご案内でクリーンルームを見学させていただいた。クリーンルームの部屋全体はクラス10000 のクリーン度で、クリーン度を要する装置はクラス100 のクリーン度となっている。おもな装置は、CMP 装置、貼り合わせ装置、アライナ(赤外線が透過してSiウエハの下面も見られる)、AFM(Atomic Layer Microscope)、超音波顕微鏡(貼り合わせ後のボイドの有無を検出する)などである。アプライドマテリアルのCMP 装置やEVグループの貼り合わせ装置など高価な装置が含まれており、CMPや接着作業や検査に必要な設備が完備している。これらの設備に4 億円の費用をかけたそうである。5. 具体的な事例の紹介 以上に述べたCMPによる平坦化と、接合技術を用いた具体的な例を、以下にいくつかご紹介する。1. 接合前CMP受託加工 CMPは、LSI のCu 配線やSTI 工程とともに発展してきたわけであるが、現在は、SiO2やCuだけでなく、各種の材料に対して接合などを行うには接合面の表面粗さの向上が必須となっている。接合強度は接合部周辺のウエハ表面に働く原子間の引力であり、二つの表面が接近するほど高まる。鏡面加工Siウエハ接合ではRMSが0.3nm 以上で接合強度の低下が見られ、1nm 付近から急激に低下する。充分な接合強度を得るには、二つの表面ができるだけ接近する必要があり、そのためにはウエハ表面に1nm以下の高品位な表面状態が必図2 Si-Si接合 表1 接合方式一覧