ブックタイトル実装技術3月号2016年特別編集版
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実装技術3月号2016年特別編集版
17部品の品質、システムの信頼性プリント配線板の品質を防ぐ必須のガードなのである。また、近年、不良率低減に向けた工程改善のためにも検査が重要とされるようになっている。3. 検査の課題 今日、実装のどの階層でも検査の難度が増している。第1の理由は検査対象の複雑化である。システムの各部品、たとえばLSIでは、入力のすべての組み合わせについて正しい結果が出力されることを確認しなければならないが、対象の規模・複雑度が高くなったため、検査すべき「場合の数」が膨大になりすぎて、すべての「場合」を検査することが時間的、経済的に困難となっている。また、BGAなど、検査個所へのアクセスが不可能なケースも増している。 検査を困難にしている第2 の理由は、システムのほとんどの要素にソフトやメモリが内蔵されていることである(図1)。実装基板で説明すると、複数の入力端子から入力されるデータ列(テストパターン)に対応して出力端子から所定のデータ列が出力されるが、ソフトやメモリが内蔵されている場合、出力データは現在の入力データだけでなく、過去のデータにも依存することになるからである。その結果、あらゆるケースについて確認することが実際上不可能になるのである。単機能の部品やベアボードはほぼ100%検査が可能であるが、実装基板になるともう100 %検査はほぼ不可能になる。 ロボットは設計できても、その動きをすべてテストすることはできないといわれる。設計時に意図した動作は確認できても、条件が重なりあったとき、想定外の動作をすることもあり得るからである。これはロボット以外、どんなシステムにも起こりえる現象である。 システムの信頼度を上げる1. 生物に学ぶ システムは膨大な数の要素で構成されるが、各要素の目的はトータルシステムの目的に沿っていなければならない。生物の場合、最大の目的は生存である。人工のシステムは生物とは要素も仕組みも異なるが、システムの安定性、信頼度確保には生物の仕組みが役立つ。 数学の巨人・ノイマンは「不完全な部品で完全なシステムをつくる。これはデモクラシーの原理である」といっている。また、日本のシステム工学の草分け、唐津一は、「民主主義は一見まどろこしい。議論を充分つくさないと簡単なことでもなかなかできない。これに対して独裁国では、主権者の考えひとつでどのようなことでも直ちに実現する……スピーディで能率的に見えるが、このようなハードなシステムは、システム信頼度という点できわめて危険なのである。システムの中にどのようにしてこのような冗長度、むだを入れるかについての方法論として、信頼性工学が発達した」と書いている。小林技術事務所3図2 プリント板の製造歩留まり(大企業、修正前)(※JPCA実態調査データを筆者加工)