ブックタイトル実装技術2月号2016年特別編集版

ページ
25/34

このページは 実装技術2月号2016年特別編集版 の電子ブックに掲載されている25ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

実装技術2月号2016年特別編集版

す。 しかし、一般にはこのマイナンバーのデータベースは巨大という意味では、ビッグですが、一般にはビッグデータとは呼ばれないでしょう。最近、多くのところでビッグデータと呼ばれるものは、現在のデータベースと比較して単にデータが大きいということだけではなく、質の異なるデータベースを指します。 IoTでは最初目的を持ってデータを収集します。たとえば自動販売機の在庫管理のための自動販売機の売り上げデータです(図3)。 IoTでは一度データ収集の仕組み、装置を作ってしまえばあとは低コストでどんどんデータが集積できます。 ネットとクラウドの普及で、多くの異なるIoTで集めたデータも利用できるようになります。このようにどんどん集まる無関係なデータを有機的に関連させて利用するとどうなるでしょうか? このような無秩序なデータに意味があるでしょうか? これがビッグデータの考えです。 ビッグデータの処理では、これまでのデータベースの管理、運営とは異なるデータ処理をしようとするアプローチになります。ビッグデータの処理の背景には、インターネットの検索技術の進歩があります。 ネットに溢れる膨大な情報、この巨大な情報をキーワードを使って検索する技術はそのまま巨大データベースの検索に繋がります。しかし、簡単な検索だけでは、データを有効活用しているとは言えません。 ビッグデータの処理には検索だけではなくデータの活用技術が求められます。3. ビッグデータの例 これまでのデータベースソフトで扱うデータは、たとえデータのサイズがどれほど大きくても厳密にはビッグデータとは呼ばれません。 これまでのデータベースソフトでは「欠陥の見つかった部品xxを使った製品」という「キーワード」でデータベースを検索して、該当製品を抽出します。 しかし、ビッグデータ処理ソフトとは、いっけん無秩序で膨大なデータの集まりから共通の「キーワード」を見つけたり、曖昧な「キーワード」から関連するキーワードを見つけ、目的のデータを絞り込んでくれるようなソフトです。 これはどのようなことでしょう? たとえば、飲み物の自動販売機の売り上げデータベースで考えてみます。 IoTにより、ある県の自動販売系の製品別売り上げデータが数年分蓄積されたとします。このデータベースにはボトル種別のの売り上げだけでなく、その時の天候、気温、湿度、曜日などのデータが1日単位ではなく時間単位で収集されているとします。 このような細かい在庫管理をデータベース化することにより、個々の自動販売機に対する飲料の補給回数を最小にし、しかも特定の飲料の品切れを防ぐことができます。 最小のメンテナンスコストで、最大の売り上げが実現でき、利益率の向上が実現できます。「日時」、「曜日」、「気温」、「湿度」、「天候」などのキーワードから売り上げデータを解析して、売り上げを予想することは、これまでのデータベス解析ソフトが得意とする分野です。 ある観光地の自動販売機の売り上げデータを解析すると、ある年の連休だけ、ほ化の年に比べ、売り上げが少ないことがわかりました。この問題を解析すれば、売り上げをもっと上げられるかもしれませんし、場合によっては新商品の開発にも繋がるかも知れません。 しかし、「天候」や「気温」、「湿度」などからは売り上げ減少の要因は見つかりません。このような「現象」から「原因」を究明しデータを解析するのが、現在、各社が開発中の「ビッグデータ解析ソフト」の機能の一部になります。 実は、この観光地は「火山」で、1ヶ月前に他の火山の活動が盛んになったため、その連休では、観光客が減少したことが売り上げ減少の原因でした。 これは、特定地域だけの売り上げデータをいくら集めても解析できません。火山活動のデータ、他の地域の売り上げデータなどを多くの他のデータベースとリンクさせる必要があります。 また、自動販売機の売り上げデータでは、まず使われない「果然活動」、「風評」などの項目での検索が必要となります。ビッグデータ解析では、「自動販売機の売り上げ」データベース、「火山活動」のデータベース、「観光地の観光客数」など多くの異なるデータベースを横断的に参照して、新しい「キーワード」を見つけ出し、解析するソフトが必要となります。 このように単一のデータベースだけでなく複数のデータベースを統合して処理するデータは、文字通り「ビッグデータ」です。4. ビッグデータソフト 現在、コンピュータソフトの世界では、人工知能 (AI=Artificial Intelligence)が注目されています。 これまでのAIというとコンピュータと人間がチェスや将棋で争ったり、人と会話するロボットなどのソフトが思い浮かびます。 チェスや将棋はゲームのルールが厳密に決まっていて、これまでのコンピュータのソフト技術にとっては、得意な分野になります。 コンピュータが高速になり、多くのデータ処理能力が上がるにつれて、ソフトが強くなってきました。 しかし、多くの人間の日常行為はゲームの前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図3 自動販売機のデータ収集53