ブックタイトル実装技術1月号2016年特別編集版
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実装技術1月号2016年特別編集版
40はんだ関連技術 1 はじめに 近年、はんだ実装の生産拠点として海外工場を主体とした生産体制である企業は少なくない。海外を生産拠点としている日系企業においても開発の主力部隊は未だ日本であり、開発を含めた製品化までの道程を、全て海外の拠点に置きたいと考えている企業も多い。小職のコンサルティングにおいても、海外工場の指導の割合が以前よりも増えており、月の半分かそれ以上は海外拠点の技術指導を行っているケースが多いのが現状である。 では、日本の生産拠点では何も問題がないか?というと、それは依然として品質課題は残されており、最先端技術に関わる課題やリードリフローに代表されるような新工法である場合を除いては、フローはんだに代表されるような挿入部品へのはんだ付け品質についての相談が多いのが現状である。 では、なぜフロー工程に代表される挿入部品へのはんだ付け品質での相談が多いのか?というと、工法上、品質のばらつきが大きく、一定以上の品質・精度のもとに生産される工程管理が難しいという現実がある。一言でいってしまえば生物度合いが大きいためである。 そこで、今回から不定期シリーズとして、「フロー工程に代表される挿入部品への品質確保をいかにして行うか?」について解説を進めていきたいと思う。 やるべきことを優先しすぎる傾向 量産時に不良が発生した場合、すぐに対策として「何をするべきか?」を優先して考えられる傾向が、近年では重要視されているように感じる。すなわち、To Doリスト化し、種々のタスクをこなし、結果に結びつける。といった傾向が強い。しかし何も、そのこと自体が悪いといっているわけではない。 それよりも、「そもそも、どういう状態であるべきか?」というBeを想定して不具合の対策を行ったほうが、筆者は結果的に早いと思っている。 私たちは、結果(Have)を得るために、行動(Do)し、そうすれば「あるべき状態」(Be)になると思っていることが多い。確かにこの方法で「あるべき状態」になる場合も多く存在する。しかし、その過程でやるべきこと(Do)が目的となってしまうケースも多く目のあたりにしてきた。 自論ではあるが、Doから考えずに「Be」から考えたほうが結果が早い場合が多く存在する。 まず、その工程での、その製品での、その作業での、「あるべき状態」を考える。それはもう、具体的に詳細まで考え、どういった状態が、その工程で、その製品で、その作業で、は「あるべき状態」なのかを、とことん考えつくす。 この時に、関係部署をすべて招集し、「あるべき状態」とは何か?を協議するのも良いと思う。結果的にそれは目標に繋がるためである。 「あるべき状態」(Be)を考えつくしたら、そのために「やるべきこと」(Do)を列挙していく。そして得られた結果(Have)が(Be)にどのように影響するか?を考えていく。 こうした活動を継続的に行っていけば、生もの度合いの強い工法であっても、必ず解決の糸口が見つかるはず。 製品に不良が出た。不良が出たのは、ただの事実である。不良が出たこと自体は良いことでも悪いことでもない。ただの事実である。 「何をいうんだ!不良は悪いことに決まっているじゃないか!!」と怒鳴り声が聞こえてきそうであるが、不良が出たものの、工程内で発見できたのであれば、不良を出さない方法を探すチャンスができたということであり、不良が出て、お客様へ流出してしまったとしても、社内の検査体制が適切でない、ということを教えてくれた出来事であった、ということである。 最悪なのは、不良が流出しても、うまく客先を誤魔化すことに長けてしまった会社である。 出来事や発生してしまった事実は、事実として受け止め、より良くするための改善点を考えるほうが先決である。本来あるべき状態とは、どんな状態か?そのために何をすべきか?このことを愚直に繰り返していけば、おのずと結果は出る。品質確保と不良改善に必要なこと(フロー工程編①)~BeとDoの違い~(社)実装技術信頼性審査協会、STC ソルダリング テクノロジ センター / 佐竹 正宏2