ブックタイトル実装技術12月号2015年特別編集版

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概要

実装技術12月号2015年特別編集版

441. はじめに 最近は、海外からも、フローはんだ付けにおける問題の相談が増えている。はんだ付けは、手はんだでもリフローでもフローはんだ付けでもみな同じで、フラックスが劣化する前にはんだを溶かすか、溶けたはんだを供給して接合する。 フラックスは供給熱量によって劣化と共に活性するが、装置特性や基板設計、材質及び部品の熱容量で必要供給量が異なる。しかし、フローはんだ付けのように、はんだ槽温度が固定されている場合の熱供給量は主にコンベア速度でプリヒートとはんだへの浸漬時間で調整される。フラックスは最初のプリヒート時で劣化が始まるので、IPAを気化させる以上の過剰なプリヒートは避けるべきである。特に、紙フェノール基板では気泡やぬれ性に大きな影響を与える。過熱状態では基板の反りもひき起こしかねない。 フローはんだ付けにおける問題は、1)フラックスの劣化  ①塗布のばらつき(固形分の多少) ②フラックスの熱特性 ③プリヒート ④その他2)熱供給 ⑤はんだ槽温度 ⑥基板搬送角度(接触面積) ⑦搬送速度 ⑧基板設計(べたパターンの影響) ⑨部品形状(リード形状、長さ)などがある。 特に、鉛フリーでは大半のフロー槽が基板の搬送角度が5°に固定されているために基板とはんだの接触面積が少なく十分な熱供給が難しく、勢いはんだ槽温度を上げるか、1次噴流を強く(高く)するようになりフラックスと熱バランスがとりにくく、ブリッジや基板の反り、ブローホール・ピンホール及び赤目などが発生しやすくなる。2. ブローホール・ピンホール ブローホールやピンホールは、フローはんだのみではなくリフローでも発生しているが、基本的には、発生したガスがはんだ槽から基板が離脱した直後で、はんだのフィレットが固まったタイミングでフィレットから放出されたものである(図1)。 技術的には、ガスの発生原因・発生元を探りだして対処することになるが、現場ではガスの発生タイミングをはんだ槽内にすることによって基板がはんだ槽から離脱した段階ではフィレットは溶融はんだで埋まり、正常な状態になる。 固形分の高いフラックスや耐熱性の高いフラックスはプリヒートでの気化のタイミングが遅くなり、フィレット形成後にその内部に残留して暴発する。ブローホールのそばにフラックスの飛散が見られる場合はその可能性が高く、また、ランド周辺でのピンホールは基板から発生したガスの懸念もあり、ベーキングして確認する必要がある(図2、図3)。 ガスの発生は、フラックスや基板の吸湿、または基板上部が部品で塞がってフィレット側に逆流するなど、いろいろな要因が単独で、あるいは複合的に重なって起こる。プリヒートや浸漬時の過熱状態や逆に熱不足でも起こる(図4)。3. マスクによる不良発生 混載基板のリフロー後のフロー時に使用するマスク(治具)実装技術アドバイザー / 河合 一男フローはんだ付けにおける問題図1 重水素中の保管で画質が劣化した有機ELと、封止樹脂中の重水素