ブックタイトル実装技術11月号2015年特別編集版

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概要

実装技術11月号2015年特別編集版

26実装工程の効率化 1  はじめに 電子部品の実装工程では、メタルマスクの洗浄が欠かせない。従来、フラックスやはんだペーストの洗浄においてはIPAやアセトン、場合によっては塩化メチレン(ジクロロメタン)などの有機溶剤中毒予防規則(有機則)に該当する有機溶剤が使用されてきた。しかし周知のように有機溶剤は人体に有害で、引火点があれば消防法に従う必要があり、特殊健康診断の実施や保管場所の管理などが要求される。特に環境・安全に厳しい欧州では、IPAなど有機則に該当するレベルの溶剤は、法規制により洗浄用途での使用はほとんど不可能となっており、水系洗浄剤での代替が進んでいる。 水系洗浄剤は高価で洗浄力が低いというイメージがあるが、実際には使用量低減などで工程としてのコストは削減できることも多い。本稿では、実績のあるメタルマスク洗浄剤(洗浄装置内及び印刷機自動洗浄)について述べる。   洗浄装置を用いた   メタルマスク洗浄剤   『Vigon SC200』 専用の洗浄装置での洗浄はメタルマスクの版替えに伴って実施される。この工程で使用されている洗浄剤は、おおかた、① IPA、②グリコールエーテル系、③アルカリ水、の3パターンが多い。それぞれの洗浄剤に対する④ゼストロン水系洗浄剤『Vigon SC200』のメリットを下記する。① IPA 単価は非常に安価でいろいろな工程で使用されているため便利であるが、揮発が早く、引火点が11.7℃と低いため、危険である。洗浄性はあまり良好ではなく、特にPbフリーペーストに弱いことが多い。有機則にも該当するため有機溶剤作業主任者の選任・換気設備・保護具使用などの縛りがある。消防法上は危険物第四類アルコール類に該当し、保管場所にも制約がある。 当社水系洗浄剤に切り替えた場合のコストは最大で20%低減した実績があるが、条件次第で洗浄剤使用量が変動するため試験が必要となる。ただし、有機則や危険物の取り扱いコストを考えるとメリットは十分であろう。また、洗浄性能が上がることで洗浄時間の短縮を狙える可能性もある。② グリコールエーテル系 Pbフリーペーストに対しても洗浄性は良好であり、安全性もIPAよりは良好である。しかし引火点はなお低め(30~40℃程度)であり、危険物に該当する。また臭気が強いため、作業場の快適性を損なうことが多い。 当社水系洗浄剤に切り替えた場合のコストは若干ばらつきがあるものの、実績平均で約50%低減している。また、水系水系洗浄剤によるメタルマスク洗浄合理化検討ゼストロンジャパン(株) / 八尋 大輔