ブックタイトル実装技術11月号2015年特別編集版
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実装技術11月号2015年特別編集版
12実装工程の効率化1 筆者は、パナソニック(株)において、車載電装品開発を26年間担当し、複雑な構造設計及び回路設計技術の習得とハンドル周辺の操作スイッチなどのマネジメントに従事した。そしてその経験をもとに、9 年前から品質問題未然防止を担当。2013 年には、トヨタ自動車(株)DRBFM A級エキスパートに、サプライヤーとして初認定された。今年3月にパナソニックを退社。8月に設計品質コンサルタントとして独立した。4月から京都府中小企業特別技術指導員を行っている。 専門・得意な分野は、① 車載電装品開発技術力(特許出願143件、登録件数国内67件)、②製品開発事業化推進力(デザインインからのコンセプト提案力を有し、キーレス、エアコンパネルスイッチ、ハンドルスイッチの商品提案と事業化の経験をもつ)、③創造的品質問題未然防止手法、である。また、2013 年に取得したトヨタ自動車DRBFMのA級エキスパート認定は、世界で10 人目であり、B級エキスパート9 名を認定指導した。さらに、独自に「Nakadeメゾット」を考案、高効率の品質問題未然防止力をもつ。社員研修所その他で、これまで延べ35 回、約1100 人に講義を実践した。 はじめに 車業界には、FTA(Fault Tree Analysis:故障の木解析)やFMEA(Failure Mode and Eff ects Analysis:故障モード、影響、解析)など、品質問題を未然に防止するツールがあるが、従来のFTAやFMEAではその機能を十分果たしていないという課題があった。 そこで、2001年にトヨタ自動車が、問題の芽は変更点・変化点に潜んでいるとの考えから、「変更点・変化点に着目したFMEAを使って創造的にDR(Design Review:設計審査)をするDRBFM(Design Review Based on Failure Mode:故障モードを使ったデザインレビュー)」を考案した。この主旨は、「衆知を集めて効率よく問題の未然防止を図る」ことである。 近年、車載以外でもDRBFMを行う企業が増えてきた。しかし、DRBFMをFMEAの特徴である部品の故障モードから考えることから始めると、非常に多くの時間を要するとともに、製品設計の本質が見えづらく、「効率よく、漏れなく未然防止を図る」の主旨から逸脱する結果になっていた。 これに対し、筆者が推奨する「Nakadeメソッド」は、設計の変更点だけではなく、品質を「製品機能」から考え、商品力も視野に入れた、「設計そのものの良し悪しを検証する手法」で、筆者はこれまで実際の車載電装品の開発現場で実践し、効果を上げてきた。 本稿ではこの開発手法を「実装・はんだ付け」に応用した場合の進め方について記述する。 現状の課題1. 車載品質について FTAやFMEAなどのツールを使って、品質問題の未然防止を図っているはずの車業界での事故が後を絶たない。 国土交通省は2014年度リコール件数(※)が過去最高だったと発表した。タカタのエアバッグやホンダのハイブリッド車の連続リコール問題など、中身を分析すると設計本来に起因する初歩的な問題が多いことに気がつく。(※…2014年度リコール件数…355件(前年比52件増)、台数… 955万台(157万台増))2. FMEAが未然防止に有効に機能しない理由 そもそも、「FMEAは信頼性設計を評価する手法であって、機能設計に由来するトラブルを未然に予防する役目はない」との考えがある。これはFMEAで設計の未熟さをカバーできないことを意味する。 元来、FMEAは表1のように部品を列挙して、その部品の、「機能」→「潜在的な故障モード」→「故障影響」→「潜在的な故障の原因/メカニズム」と展開していき、故障の影響度の、厳しさ(S)×発生頻度(O)×検出度(D)の積の点数で危険優先度を算出してから対策をしていた。これは全部品の検証を「品質は経営そのもの」~車載品質DRBFMから考える実装不具合 未然防止手法=「Nakadeメソッド」~コンサル なかよし / 中出 義幸2