ブックタイトル実装技術10月2015年特別編集版
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実装技術10月2015年特別編集版
これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第55回 フライ・バイ・ライト1. フライ・バイ・ワイヤ 航空機は自動車と同じような操縦系統をもっています。 空中を飛ぶと地上は走るの違いはありますが、エンジンのコントロール(アクセル)方向舵、昇降舵のコントロール(ハンドル)など制御の本質は変わりません。 航空機は地上滑走時には、自動車と同じように車輪に対するハンドルやブレーキ機能ももっています。レガシーな飛行機は、ワイヤやロッドなどの機械的な手段を使って操縦桿やスロットル、ペダルなどの操作を舵やエンジンに伝えていました(図1)。 現在でも、軽飛行機ではこのようなメカニカルな操縦系統をもっています。 メカニカルな操縦系統は単純な制御にはよいのですが、微妙なコントロールや複雑なコントロールには限界があります。昔のパイロットには名人芸的な達人がいて、有名になりましたが、個人差のある技量や、操縦するために長い修練が必要というのでは、パイロット不足の時代にはあいません。 また、ワイヤやロットを組み合わせた操縦系統では、重量も重く、単純なコントロールしか伝えられません。 特に大型機や、微妙なコントロールが必要な戦闘機などではメカニカルなコントロールでは限界があります。 電子素子がトランジスタやICになり回路の信頼性が大幅に向上すると同時に動作の高速化が実現されました。 そこで、操縦装置から、実際の舵やエンジンコントロール部までの長い距離の伝達に電気を使う操縦システムが考えられるのは必然です。 オスプレイ(図2)では、離着陸時に翼がプロペラごと回転し機体が安定せず、コンピュータ制御の操縦系統がなければ実現しない飛行機です。 メカニカルな機構でなく電気信号のケーブルを使う操縦系統のことを、フライ・バイ・ワイヤ (FBW) と呼んでいます(図3)。 フライ・バイ・ワイヤでは、操縦桿などの操縦装置の動作を電気信号に変換し、ケーブルを介して、翼や脚を動作させる油圧モータを制御します。電気信号にはアナログ系とデジタル系がありますが、現在はデジタル系が主となっています。 しかし、飛行機という一つの故障が事故と人命に直結するシステムにまったく新しいコントロール系を導入することは大変です。特に戦闘機などでは、これまでにパイロットが慣図1 メカニカル操縦系統図2 MV-22オスプレイ(防衛省HP「MV-22オスプレイについて」より)図3 フライ・バイ・ワイヤ(FBY)52