ブックタイトル実装技術9月号2015年特別編集版
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実装技術9月号2015年特別編集版
39 ISOやIECへの標準化を実施するには、日本工業標準調査会 (JISC)を通じて提案が必要である。これは1 国1機関と規定されており、日本はJISCが担っている。そしてこれを支えるのが関連企業、研究機関、大学等からなるISO/IEC 国内審議団体によって審議されている。その主な流れを示すと表2 のようになる3)。3. 標準化の失敗事例 国際標準化は初期段階で統一に失敗すると普及してしまった後では容易に統合できず、後世までその利用者に多大の影響を与えてしまうことになる。その事例をまず紹介しよう。 たとえば、 a. 電気のコンセントの形 b. 100V、200Vといった家庭用電圧と50サイクル、60 サイクル周波数の相違 c. 水道の蛇口 d. 電車の軌道巾 e. 車の車線の左側通行と右側通行 f. NTSC、PAL、SECAM のテレビやビデオの方式等 g. PDC、GSM、CDMAなどの携帯電話の方式 h. 洋服や靴のサイズなどは、標準化に失敗して、統一化されないままに残っているものである。 アジア地域では、1980年代までは日本のJIS規格がデファクト・スタンダードという時期があった。ところが、近年の経済のグローバル化によってJIS そのものの優位性は低くなっているのが現状である。 たとえば、二層式洗濯機は東南アジアでは高いニーズがあるものの、ISO の安全基準を満たさなかったためにシンガポールに、日本から輸出できなかった時期がある。 欧米では二層式洗濯機を製造していないことと日本メーカーでの国際標準への意識の低さが原因で問題となった苦い経験がある。日本メーカーも現地のユーザーにも不便が生じたため、日本メーカーは協調して二層式洗濯機のISO 規格化に努め、今では輸出できるようになっている。 また、システムキッチンのISO 規格は、当初、体格が大きい欧米人を基準にしていた。このため、日本メーカーの標準サイズは規格外とされ、輸出に支障をきたした。これを打開するためにアジア諸国の身長データを集めて、データに基づいてねばり強く説得して、日本サイズの規格採用にこぎつけた経緯がある。上記の例は、日本にとって、国際規格化の重要性を再認識するきっかけとなった2)。 その後、世界各国において国際標準の重要性が認識されるきかっけになったのが、1994 年に合意されたWTO 協定である。WTO協定には、TBT協定及び政府調達協定が含まれ表2 国際標準化の流れ