ブックタイトル実装技術7月号2015年特別編集版

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概要

実装技術7月号2015年特別編集版

361. はじめに 企業で新しい製品を開発して、商品化した場合に重要なのが、「いかに効率良く、生産性を高めて生産するか」という点である。ここで重要になるのが「企業内での標準化活動」である。 第12 回目のお役立ち情報は、「標準化技法」の「その1」として、企業内の標準化活動、標準化に関する基礎知識として標準化のルーツとその必要性、標準化の失敗が後世まで影響すること、などをご紹介しよう。2. 企業内の標準化活動 具体的な標準化の事例を理解していたくために、入社5 年目の技術者を例にして紹介する。 この若手技術者は、「低温で打ち抜き加工のできる紙フェノール銅張積層板」という新たな開発テーマが与えられた。 この新しい紙フェノール銅張積層板は、3 年後に製品化されるカラーTVに適用されるもので、ドリフト特性の優れた紙フェノール銅張積層板であることが新たに加わった特性であった。 そのため、新しい難燃性変性フェノール樹脂の開発が必要で、樹脂開発に1 年、その新しい樹脂を使って銅張積層板に仕上げるのに1年、最後の1年で客先での評価を実施した上で、量産体制を整える……といった計画で進めることになった。 様々な変性方法を検討し、低温で打ち抜き加工ができるようにするためにフェノール樹脂は可撓性の付与が必要となる。フラスコ実験を繰り返し、様々な合成条件を決め、変性剤に桐油を使い酸触媒の元で骨格に入り込む反応型の桐油変性フェノール樹脂の開発が低温打ち抜き性と難燃性を両立させるのに苦労したものの、当初の計画通り、約1年で完了し、フラスコ実験からパイロット試作、さらには量産試作までこぎ着けることができた。 ここで必要なのが量産体制を整えるために、新しい材料に関しては「材料仕様書」の準備である。特に材料選定にあたって、桐油には中国産、台湾産、アルゼンチン産などがあり、反応性に微妙に異なることが判明し、中国産の桐油を指定する必要がでた。そのため、材料仕様書の中には、解説の項で、産地によって共役二重結合の含有量が異なり、反応性が異なることが分かるように記載したのはいうまでもない。今回の量産には中国産以外は使用しないものの、将来、台湾産なども使えるように触媒の量などが異なる点も注記して後日、分かるように配慮もして材料仕様書を作成した。 材料仕様書に従って、「購入仕様書」や「受入検査規格」の作成が必要である。つまり、規格を作成して、その規格に合致したものを購入しなければならない。そして初期流動期間は、受入検査を実施して定めた数値が規格内に入っているかの確認も必要である。安定していることが判明すれば受入検査は省略して供給者から提出された試験成績表の数値の確認のみを実施すれば良い。このような流れも社内で標準化して誰でも理解できるようにしておくことが必要である。 製造現場でフェノール樹脂を量産するには、「製造標準書」が必要となる。材料の配合表、加熱条件として温度上昇方法、反応温度、真空度、反応終点の条件(屈折率、硬化時間)などの記載が必要となる。 そして製造された変性フェノール樹脂の諸特性として粘土、比重、樹脂含有量、硬化時間などの特性値が必要である。この変性フェノール樹脂に、他の、たとえば難燃剤・添加剤などを調合する場合には、その製造標準書も必要となる。 以下、紙に変性フェノール樹脂を含浸して半硬化状態のプリプレグを作る場合、あるいは、そのプリプレグと銅箔を重ねて加熱加圧して一体成形する場合にも、樹脂の時と同様に、製特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 横浜支部 / 青木 正光実装技術初心者のための『パスポート』  ?知のインプット/アウトプットのこつ?第12回「標準化技法」とは?( その1)<企業内標準化活動と標準化の基礎知識>