ブックタイトル実装技術6月号2015年特別編集版
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実装技術6月号2015年特別編集版
49ており懇切丁寧な説明をしていただいた。顧客を大事にするという社風を強く感じた次第である。以下の説明は、図2の高橋取締役に伺ったものである。 現在の社員数は800名を超え、この内技術者が大半を占めている。まさに技術会社である。売り上げのほとんど全てが特許料や技術指導料であり、製品の売り上げはない。売り物は「技術」であり、「特許会社」と呼んでもよく、この規模でこのような会社は世界中にほとんどない。取得されている特許は図3 のグラフのように、現在も増え続けており、国内7288件、海外15215 件と膨大な数である。CGSやIGZO の共同開発を行うなどシャープと深い関係にあるが、売り上げは必ずしもシャープからだけではなく、多くの企業と研究開発を行っている。海外企業との技術交流の機会も増えつつあるとのことである。社内で試作を行うための多くのプロセス装置や評価装置を揃え、物性や特性計算のためのスーパーコンピュータ群を持って開発のスピードアップを図っている。3. 酸化物半導体1. CAAC-IGZOの開発 今年春の応用物理学会をみると、酸化物半導体の発表が128件ときわめて多く、シリコン関係を追い越す勢いである。この分野の実用化を先頭に立って推進しているのはSELである。具体的には、SELが開発したIGZO(In-Ga-Zn-O)のFET(Field Effect Transistor)がシャープの液晶ディスプレイに採用され、さらにスマートフォンにおける高画質と省電力を両立したディスプレイとして用いられている。 IGZOは、1985 年、無機材研(当時)の君塚昇氏によって初めて合成されたが、SELによって特性と信頼性を両立するFET 技術が開発され、特にCAAC(C-Axis AlignedCrystal)という特徴的な結晶構造が開発されたことで、省電力次世代LSI の素子としても一躍注目されるようになった。 図4はInGaZnO4の構造である。バンドギャップは約3.2eVと大きく、パワーデバイスで注目されているSiCやGaNに近い。電子の移動度は5?10cm2/Vsecと、結晶シリコンに比べるとかなり小さな値であるが、多くの液晶ディスプレイで用いられているアモルファスシリコンに比べると10 倍以上の値である。CAACは、単結晶ではないが、明確なGrain Boundaryがなく、スパッタリング法により低温で形成可能な結晶薄膜である。2. CAAC-IGZOトランジスタの特性 何といってもリーク電流が小さいことである。小さいといっても桁違いで、yA /μm のオーダーである。筆者はyAという単位は初耳であったが、yはヨクト(yocto)と読むそうで、mill(i 10?3)、micro(10?6)、nano(10?9)、………yocto(10?24)と続く。このような微少電流の測定法は、図5の回路でMOSFETをオンしてキャパシタに電荷を貯め、次にオ図4 CAAC-IGZOの結晶構造 図5 CAAC-IGZO MOSFETのリーク電流の測定方法図3 特許の件数グラフ