ブックタイトル実装技術5月号20015年特別編集版
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実装技術5月号20015年特別編集版
ズで、IC の電源電圧が変動します。2. PDN では、なぜ負荷の状態変化に対して電源の対応が遅れるのでしょうか? 電源から、IC の電源/グランドまでの電源供給ネットの配線モデルをみてみましょう。この電源供給ネットのモデルをPDN(PowerDelivery Network)と呼びます。 電源から基板を介して、BGAなどのボール(ピン)を通して、ICパッケージに電源が供給されます。 基板ではここまでですが、ICパッケージ内部にはまた基板(インタポーザ)があり、BGAのボール(ピン)からICチップ(ダイ)の電源/グランドパッドまでの配線があります。 この後、インタポーザへのチップの実装方式で条件が異なります。 フリップチップ実装であれば、直接IC へ給電されますが、ワイヤボンディング実装の場合は細くて長いボンディングワイヤを介してICへ給電がされます(図4)。 基板やインタポーザの配線、ビアには非常に小さいL 成分が存在します。 このL成分は低い周波数に対しては存在が無視できますが、高い周波数成分に対しては高いインピーデンスをもち、電流の伝搬を阻害します。 配線の途中にL成分があると、負荷抵抗との間で、積分回路が形成され、高速な変化を遅らせてしまいます(図5)。 このため、ICの負荷が高速に変化した場合、電源からの電流供給がPDNがもつL 成分のため、負荷変化の速度に追随できなくなり、瞬間的に電圧が降下してしまうのです。というわけで、IC のスイッチング速度が早くなると、同時スイッチングノイズが大きくなるのです。3. バイパスコンデンサ この電源からICチップまでの間にある配線やビアのL成分による電流供給の遅れは避けられません。 配線は太いほどL成分が小さくなります。また、Lはn個を並列接続すると抵抗と同じで、値は1/nになります(図6)。 このため、電源/グランドをプレーンにしたりできるだけ太く配線しますが、L 成分を0にすることはできません。 そこで、同時スイッチングノイズを防ぐためにコンデンサが使われます。 コンデンサは容量だけの電荷を蓄えていて、同時スイッチングノイズで電源電圧が低下すると、貯めていた電荷を放出し、電圧低下を妨げます(図7)。これがバイパスコンデンサです。 バイパスコンデンサが蓄えている電荷には限界があります。同時スイッチングによる電流の変化が大きければコンデンサの蓄えている電荷では対応できないので、電圧変化への対応は限られたものになります。 このため、多くのコンデンサを並列に接続し、トータルの容量を大きくします(図8)。 多くの基板ではLSIが実装された裏面には大量のバイパスコンデンサが実装されています(図9)。 実際のコンデンサ部品は理想的なC素子ではなく、微小なL 成分とR 成分が直列に接続されています(図10)。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図9 LSI 実装の反対面に実装されたコンデンサ図6 インダクタの並列接続図7 コンデンサは電圧降下を妨げる図4 PDN図5 積分回路図8 コンデンサの並列接続図10 コンデンサはL 成分とR 成分をもつ53