ブックタイトル実装技術5月号20015年特別編集版

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概要

実装技術5月号20015年特別編集版

12環境対応の諸動向 1  はじめに 環境規制によってエレクトロニクス業界で環境対応が迫られたものには、次のような代表的な環境規制がある。①オゾン層破壊物質のフロンの削減 (ウィーン条約/モン トリオール議定書)②温暖化ガス排出の削減 (京都議定書)③製品含有物質の管理 (RoHS指令) これらの環境規制によって、エレクトロニクス業界でのものづくりに大きく影響を及ぼし、結果的にはグリーンエレクトロニクスが進展した。 本稿では過去の規制をあらためて振り返り、身近に見ることができる電子機器製品にどのように環境対策が実施・展開されているかを紹介する。   環境法規制の背景 化学物質の種類は流通しているものだけでも5 万種類以上に及ぶともいわれている。化学物質のもつ機能をいかんなく発揮するため、多くの用途に使用され、便利な社会の実現に役立っているといえよう。しかし、いっぽうで、化学物質の使用を誤ると人の健康や生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。 新しく合成された化学物質は、時には「夢の物質」とか、「奇跡の殺虫剤」とかいわれたものの、使い始めてしばらくすると役立つとされた化学物質に別の問題があることが判明し、なかには「環境の不良債権」と烙印を押されるものまで出て、環境規制となったものがある。その代表的な例を取り上げて紹介する。1. フロン規制 フロンは1931年に米国のデュポンとゼネラル・エレクトロニックが協同で開発した有機化合物で、商品名は『フレオン』と呼ばれているもので、1937年に日本で最初に生産した大阪金属工業(ダイキン)は登録商標のFREONのEととって、日本ではFRON(以下フレオンをフロンと称す)と呼ぶようになった。 米国で開発されたフロンは、当初、「夢の物質」ともいわれた。1960年頃からフロンガスは冷蔵庫の冷媒や断熱材発泡剤として先進国を中心に使用されてきた。特定フロンのクロロフルオロカーボン(CFC)は、冷媒として従来から使用されていたアンモニアに比べ、毒性や腐食性がなく「化学の勝利」ともいわれ、開発者にはプリーストリー賞を与えられた。 しかし、1974 年、F. S. Rowland教授(カリフォルニア大学)らにより、フロンガスがオゾン層破壊の原因との論文を発表したことによって1)、その後、その事実が確認され、世界規模での対策の必要性を認識した(表1)。 フロンには、「特定フロン」「代替フロン」「ノンフロン」の3種類が存在し、オゾン層破壊物質のフロンは「特定フロン」といわれ、①先進国は1996年に、途上国は2010年に全廃するもの としてR11、R12、R113などのクロロフルオロカーボ ン(CFC)②先進国は2020年に、途上国は2030年に全廃するもの としてR22、R113などのハイドロクロロフルオロカー ボン(HCFC)などがある。 そしてオゾン層破壊物質ではないR23、R32、R134a、R 404A、R407C、R410Aなどの「代替フロン」のハイドロフルオカーボン(HFC)がある2)。 1980 年代に問題提起されたオゾン層破壊物質の削減として、1985年「オゾン層保護のためのウィーン条約」が採択され、規制プランは条約に基づく議定書に委ねることとなり、1987年にモントリオール議定書が策定された。環境規制がもたらした環境対応の実態特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 横浜支部 / 青木 正光2