ブックタイトル実装技術4月号2015年特別編集版

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概要

実装技術4月号2015年特別編集版

261. はじめに パワーエレクトロニクス、航空電子システム、医療技術あるいは自動車分野などにおいて、はんだ付けの際に生ずるボイドを含む接合部に、温度差などに起因する大きな応力が印加されると、はんだ接続信頼性に問題が生じる。これにより、性能が低下し用途が制限され、最悪の場合、部品が破壊される。 パワー部品の利用が増大し、電子部品の出力密度がますます高まるにつれて、無欠点はんだ接続が求められている。ボイド(その多くは、はんだ付けの際に除去されなかったフラックス構成成分からの気泡) が、電気伝導率及び熱伝導率を下げ、発熱につながる。また、ボイドは、はんだ接続の信頼性を損なう結果、電流と熱が局部に集中することによって、電気的熱的特性に悪影響を与える可能性もある。さらに、鉛フリーはんだはボイドの増加につながり、粘性が高くなる。鉛フリーはんだが導入されることにより、これまで長年知られてきたボイドの問題がさらに重大になった。ここに、ボイドの形成は再現可能なプロセスではないという、きわめて重大な認識がある。 ボイドの形成を最小限に抑えるために、IPC A 610 クラス1、2 及び3 規格に従い、BGA 部品の場合、X 線画像で表示した場合、1個のはんだバンプあたり最大25%(面積比)のボイドの含有が認められている。接続面のマイクロビアなど、設計上のボイドは、ここからは除外されている。このような場合、メーカーとユーザーの間で検査基準を取り決める必要がある。これまでのところまだ許容されるボイド率が指定されていない。 BTC( ボトム ターミネーション コンポーネント) にも同じことがあてはまる。はんだ被覆率が50%未満の場合、放熱時に問題になる。 また、SMT 標準部品のはんだ接続にはまだガイドラインがない。しかし、クラス3 の用途では、企業は多くの場合、IPCA 610 の基準に従っている。この基準では、はんだ接続部の体積に対して、ボイドの割合を部分的に最大10~15%にすることを要求している。2. プロセス及び材料の影響 ボイドの割合は、さまざまな処理により異なる。たとえば、はんだぬれ速度などが影響する。特に鉛はんだ合金の場合、必ずしも簡単に実現できるものではない。はんだ付け温度には上限があるため、しばしば、はんだ付けの時間を長くすることにより調整され、これにより、同じ入熱と同等のはんだぬれを実現できるが、はんだ付けプロセスの動特性は影響を受ける。溶融はんだの流動速度が低下し、フラックス残渣の排出が遅れ、ボイドが形成されやすくなる。適切な溶剤を含むはんだペースト及び良好なぬれ特性のPCB表面金属化によって改善が可能である。 パワーコンポーネントのはんだ接続においては、電気と熱の伝導率が均一であることが、機能と耐久性に大きな影響を及ぼす。ボイドと液体を含むことにより、表面積をできるだけ小さくしようとする表面張力のため、溶融はんだ表面ははんだ量、ランドサイズ、はんだギャップの高さに応じて収縮する。理想的な場合、小さなボイドは球状になるが、より大きなボイドははんだ接続高さが制限されているため、コンポーネントまたはチップを局部的にもち上げる。はんだ接続高さにおけるボイドの分布が均等でないか、あるいは複数の小さなボイドが集まってより大きなボイドになることによって、通常、はんだ付けされたコンポーネントが傾斜する。傾斜が大きくなると、電流と温度が不均等となり、特に熱機械的なストレスが増大する。このため、フラットなはんだ接続を達成するため、はんだペースト印刷量を最適化する必要がある。例としては、はんだペーストを十字型に印刷することにより、比較的優れた結果が得られる。 また、適切なレイアウトによって、ボイドを減らすこともできる。特に、はんだマスクのデザインに注意する必要がある。非ソルダマスク定義デザイン( NSMD:Non Solder MaskSEHO System GmbH / Andreas Reinhardt(株)アンベエスエムティ / 安部 可伸真空に代わるマルチ高圧リフローシステム~ボイドレスにとどまらない、各種のメリット~