ブックタイトル実装技術4月号2015年特別編集版

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概要

実装技術4月号2015年特別編集版

18製品製造を効率化させる技術・取り組み 1  はじめに 業務用・マリン用・アマチュア用の各無線機器やネットワーク機器の製造・販売を手がけ、無線通信機器業界を力強く牽引している、アイコム(株)。 最高級のHFオールモード・トランシーバ『IC-7851』や、小型の筐体ながらも1kWを実現したHFオールバンド+50MHz 1kWリニアアンプ『IC-PW1』など、世界中のユーザーの熱い注目を集め、また国内外のさまざまな現場で幅広く採用される製品群を展開しているアイコムは、社員の多くが、理系の知識を有する技術者であるという。そのため、あらゆることを「突き詰める」姿勢が強く、「今までの世の中になかったものを作って、形にする」という風土が根付いている。上記の2 製品も、技術者のチャレンジ精神から生まれたものである。 また、多くの製造メーカーが「製造コストが安価であること」などを理由に海外展開を進めていた時期にあっても、アイコムでは、ぶれることなく、国内生産にこだわり続けている。 その理由は、●本社の開発部門と生産部門の濃密な一体行動により、現 場・現物・現実・原理・原則で品質の作り込みができる●最小の労力で最大のスループットを引き出すことができ る●最新の高性能な製品をすばやくお客様にお届けできる というものであり、同時に、海外生産にも対抗しうる、充分な価格競争力も有している。 このようなアイコム製品の生産拠点として、高品質・高性能な製品を供給しているのが、和歌山アイコム(株)である。 「常に最高の技術集団であれ」というアイコムの社是を体現し、さらに「NEXT IPS」「4S徹底と改善実行・常に考える、常に進化する」をスローガンとして掲げながら、独自の生産システムを構築している和歌山アイコムの取り組みを、以下にご紹介する。   和歌山アイコムの概要 和歌山アイコム(株)の設立は1988 年。和歌山県有田川町の有田工場ほか、紀の川市に紀の川工場を有している。この2 つの工場の間は約50km、車で約1 時間の距離に位置している。 従業員数は、有田工場が227名、紀の川市にある紀の川工場(写真1)は67 名で、社員の平均年齢は三十代前半と非常に若い会社である。 各工場のライン数は、有田工場が全8ラインで、このうち完成品が7 ライン、PCB加工をする面実装の後の工程が1ライン。また、紀の川工場は4ラインで、いずれも完成品のライン、である。 工場の敷地面積は、有田工場= 26,OOOm2、紀の川工場= 23,210m2。設備としては、有田工場では実装から組み立て、梱包までを行うことができる。いっぽう、紀の川工場には面実装の設備はなく、有田工場で実装された基板が毎日納められ、製品の組み立て・梱包を行っている。なお、紀の川工場では、自社内で装置を作り、測定器を組み込むな独自の生産ラインを構築し、高い生産性と高品質な製品づくりを実現する、和歌山アイコムの取り組み(その①)本誌編集部写真1 紀の川工場2