ブックタイトル実装技術4月号2015年特別編集版

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概要

実装技術4月号2015年特別編集版

14製品製造を効率化させる技術・取り組み 1  ものづくりの変化と今後の動向■ 昨今のものづくり動向 今では過去の遺産となりつつある少品種大量「バッチ型生産」から、市場ニーズの多様化による多品種少量生産に対応すべく「セル型生産」へ変化してきた。その後も「TOC(Theory Of Constrain:制約理論)」などのさまざまな考え方を盛り込みながら、ものづくりのしくみは進歩を遂げてきた。そして今、ITの進化による「IoT(Internetof Things):「もの」がインターネットにつながることによって新たな付加価値を生み出す」、「M2M(Machine ToMachine):設備と設備がネットワークでつながり自律的な動きをする」、「ビッグデータ活用:事業に役立つ知見を導き出すためのデータ活用」や、ドイツ発信の「インダストリー4.0」などといった新しいITの活用方法や生産のしくみ、概念がものづくり現場に取り入れられようとしている。■それらは何を目的にしているのか? 市場ニーズの多様化により供給側は生産品目が増加するいっぽう、製品のライフサイクルの短命化が加速、また販売機会を逸しないために最適地生産も含めた商品供給のスピードアップとそのタイミングが非常に重要になってきた。併せて、為替変動やエネルギーコストの要因による材料費や操業経費の高騰といった企業を取り巻く外部環境の変化は、ますます企業経営に大きな影響を与えている。 いっぽう、生産現場を見ると、人件費の高騰・人材流出や高齢化が進むなか、市場要求に追従するために、より人の経験に依存する傾向もみられる。併せて各プロセス単位にクローズされた表計算ソフトウエアなどに代表されるPCシステムにより情報が分断され、工程や工場単位での生産性向上はますます困難となっている。その結果、販売機会を逸するケースや、必要以上の在庫を抱え、また無駄な残業などが発生している状況にあるのではないだろうか。また不良を出さないものづくりのしくみ作り、グローバルでの品質保証体制の確保、万が一の市場への不良流出に対する迅速な対応などもあたりまえのように求められる時代となった。 これらの外部・内部環境を踏まえ、市場で勝ち残るために、限られた時間の中で経営資源の最大活用をQ.C.D.のバランスを取りながら生産活動を実施することで、自社の収益拡大に貢献することが必要となる。そのために経営の意思決定を生産現場の末端までリアルタイムに届け、経営と生産現場の一体運営を図るために自ずとITの有効的な活用が必須となってきたものと考える。   当社が目指すもの:つながることに   よるスマートファクトリーの実現■生産現場における現状の課題 多くの企業ではこれまで、各生産プロセスの工数・設備能力、必要スキル、治具、稼働時間といった生産リソースの基礎情報、日々の生産活動における各生産プロセスへの生産・各種作業指示や作業者のシフト体制の考慮、材料の受け払いといったリソースの運用はEUC(End UserComputing)化が進んだなかで、前述した通り、個別のPCシステムにて管理、運用されている。また現場改善は経験豊富な現場キーマンのリーダーシップやQCサークルなどに代表されるように、5S、見える化活動など、その改善は着実に成果を上げてきた。 しかしながら、一例であるが、月間の受注オーダー件数が約1,800、基板投入から基板完成まで(組み立て工程へ引渡し直前まで)の作業(ワークオーダー数:以降W/O)件数は7,000を超え、それらが割りあてられる生産プロセス数は全部で20 を超えるケースを仮定する。 これを週単位に置き換えると、受注オーダー件数が約450、W/O件数では約1,800 となる。おのおののW/Oを各生産プロセスの生産条件、材料の準備状況を同時に確認しながら、「どこのプロセスで、何を、何時から、何台生産するのか?」を、切り替え効率性や後工程プロセス、組み立て工程に引き渡すタイミングも同時に考慮しながら生産をマスマートファクトリーを実現する実装フロアマネジメントシステムパナソニック ファクトリーソリューションズ(株) / 八十島 励