ブックタイトル実装技術3月号2015年特別編集版
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実装技術3月号2015年特別編集版
372. 製品化されている商品とその技術の紹介1. ブレードダイシング 同社のブレードダイシングは、世界中のLSIメーカーで採用され、LSIのダイシングに必須な装置となっている。カーフ(切り代)40μmで加工する例が多いと聞いて、筆者は少々驚いた。技術的にはもっと細いカーフでダイシングできるが、ユーザーが希望されて40μmになっている。なぜなら、ダイシング部分にTEG(Test Elemnt Group;LSI の特性評価用の各種パターン)を入れており、機密保持のためダイシングで取り去って欲しいとのことである。 ブレード先端の形状は、図1のようにボンド層に5μm程度の大きさのダイアモンド砥粒が埋まっている構造である。通常、ウエハによって切る長さが異なるが、トータルの加工長さで数千メートル程度は切ることができる。ブレードは硬いウエハと衝突するので砥粒が剥離するが、下から新しい砥粒が現れて切れるようになり、これを自生発刃と呼んでいる。送り速度は100mm / sec 程度で、低速になるほどダイシング形状は綺麗になる。ダイシング中は水冷を行うが、ウエハの温度上昇を防ぐのと、ダイシングの切り屑を排出する効果がある。水冷に超純水を用いると、18MΩの高抵抗なので放電を起こしてウエハが欠けることがあり、水の抵抗を下げるため炭酸ガスを含ませることがある。またSiウエハ上のAlのような金属は変色しやすいので、図2 のように「Stay Clean」という切削水用添加剤を用いると、金属表面に膜ができて腐食を防止し、ダストの付着を防ぐ効果もある。2. 超音波ダイシング これまでのブレードダイシングでは切削が困難であったガラス、セラミックなどの難削材を切ると、目潰れや目詰まりの発生、チッピングやバリの増大、ブレード破損など色々な不都合が生じやすい。その解決策として超音波ダイシングを開発した。図3のように超音波でブレードを半径方向に伸縮すると、きわめて短時間に砥粒が資料に大きな加速度で衝突を繰り返すことで、微細な破砕層を発生させる。ブレードと資料との間に隙間が生じることで、砥粒の冷却が行われ、目詰まりや目潰れが防止される結果、加工品質やライフが向上する。3. レーザーステルスダイシング レーザ光を試料内部で集光して局部的に発熱することにより改質層を形成し、チョコレートブレークやテープエキスバンドブレークでチップに分割する。たとえば、シリコンウエハの場合だと、図4 の断面写真のようにウエハ内部に結晶欠陥を発生させて脆くしてブレークする。集光で発熱するためには、短波長の光だと資料表面で吸収されてしまい、長波長だとエネルギーを与えずに突き抜けてしまう。Siウエハの場合だと1000nm 程度の赤外波長が用いられる。ウエハが反っていると集光位置がずれてしまうので、反らないようにテーブル側で真空吸着するか、テープなどで固定する。試料の表面状態によって集光が変化する(表面がAl の場合など図2 切削水用添加剤による腐食防止図4 ステルスダイシングのカット断面と異形状チップのイメージ図1 ダイシングのブレードの形状図3 超音波ダイシング加工メカニズム