ブックタイトル実装技術3月号2015年特別編集版
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実装技術3月号2015年特別編集版
15極薄柔軟多層FPC電子機器の進展を支えるプリント配線板技術456合わせには、ボンディングシートと呼ばれる未硬化の熱硬化性樹脂シートを用いる。その後、一体化したFPCのそれぞれ独立している各導体層間を電気めっきなどにより電気的に接続し、多層FPCを形成する。 この構造は、高密度化の手段としては有効であるが、ボンディングシートにより、FPCの総厚みは厚化するため、FPCの特徴である軽薄性と柔軟性は低下する。この構造では、通常用いられる多層FPCを0.3mm以下の厚みにすることは困難であった。 今後、電子機器はスマートフォンやウエアラブル機器のように新たな機器が登場しており、多層FPCにはさらなる軽薄性と柔軟性が要求されると考えられる。 以上の背景から、『極薄柔軟多層FPC』の開発に至った。 極薄柔軟多層FPCの特徴① 薄型化と柔軟化 まず第1の特徴は、従来の多層FPCに比べ、薄く柔軟であるという点である。それにより、低反発で折り曲げ性に優れる。② 材料の信頼性 『極薄柔軟多層FPC』の構成材料は、従来の多層FPCと同様の材質を用いている。これにより、従来の多層FPCと同等の特性と性能を確保している。③ 多層FPCの機能の維持 多層FPCを薄型化しつつ従来の機能を維持した。従来のFPC同様、接続ケーブルと回路基板の一体化、コネクタレスによる低背化や部品点数削減の特性は引き継いでいる。特に低背化は基板の薄さと相まって効果は大きい。④ 環境適合性 『極薄柔軟多層FPC』はハロゲンフリー材料を使用しており、環境に配慮した配線部品である。 FPC構成材料の薄型化 多層FPCの構成は、導体層(銅箔)、絶縁層(プラスチックフィルム)、銅箔とプラスチックフィルムを貼り合わせる接着剤層の3 つに大別される。接着剤層は、多層化の際にFPC同士の貼り合わせるためにも使用される。これらの各構成材料の薄型化により、FPCの総厚みの薄型化を図った。1. 導体層(銅箔) まず導体層となる銅箔は、さまざまな厚みがラインナップされている。その中で、銅箔の選定にあたっては、導体抵抗をはじめとする電気特性、銅箔の裏面と基材の密着性および銅箔表面の平滑性を維持しながら薄型化を行った。2. 絶縁層(プラスチックフィルム) 次に絶縁層のプラスチックフィルムであるが、絶縁層の薄型化は、電気特性で重要な絶縁性の低下が懸念される。そこで、絶縁層材料は、広くFPCに使用され高い電気絶縁性を持つポリミドフィルムを用いた。フィルムの厚みと絶縁性についての電気的評価を行い、十分な絶縁性が維持できる厚みを検討した。3. 接着剤層 接着剤層は、銅箔とプラスチックフィルムの貼り合わせ後の密着性、導体間の充填性、隣接導体間の絶縁性すべてを維持する必要がある。今回、これらの機械特性、埋め込み性、電気特性を満足するエポキシ系の熱硬化性接着剤を使用した。 製造技術 多層FPCの構成材料の薄型化は、FPC厚みの薄型化と柔軟性向上に有効であるが、FPCの製造工程において、薄さは難点となる。 たとえば、製造工程での搬送時のハンドリング性の悪化により、折れしわ、きずなどの製品欠点につながる。これは材料が薄いほど顕著になる。この難点の解決のため、搬送系や専用の治工具等を整備し、薄型材料を扱える工程設計を行った。 また、製造工程での寸法変化の大きさも問題となる。FPCはポリイミドを始め有機樹脂を用いているため、製造工程間での寸法変化が大きい。この寸法変化も薄型化に従い大きくなる。積層の際には各層間の配線パターンの位置が一致しなければならないため、寸法変化を吸収するための補正を行った。 以上の構成材料の薄型化と製造技術の確立により、『極薄柔軟多層FPC』が可能となった。沖電線フレキシブルサーキット(株)