ブックタイトル実装技術2月号2015年特別編集版
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実装技術2月号2015年特別編集版
13金めっき外観検査装置の開発と標準化検査技術とすれば、眼の部分にあたる光学系の開発が遅れている。そもそも、むら、シミなどの定義が曖昧であり、その原因もはっきりしないため、どのような物理量を調べるのか、どのような光学系・構成で検査するのかなど、基本的な検討が必要である。 金めっき表面の光沢正常部と異常部を原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、その表面粗さ(Rq)の異なることがわかった。異常部では、金の粒子間距離が比較的短く、局所的に平坦であり、表面粗さが比較的小さかった。このため、異常部では、正常部に比較して正反射光の割合が大きくなり、照明光の入射角度の変化に対して輝度変化がより顕著に認められるものと判断される。この正常部と異常部の表面粗さのむらが、表面反射光輝度の違いとなり、光沢むらとして人間の目で認識されていると考えられる。 表面粗さと反射光の偏光成分の関係については、相関のあることが知られている2)。図4 に金めっきパッド良品および不良品試料について、光沢正常部と異常部をエリプソメトリーで調べた結果を示している。同図は、AFMによる粗さ測定結果をあわせて示している。これより、正常部と異常部では、Ψ値に差異のあることが確認された。正常部のΨの平均値は、34.4、異常部のそれは38.9であり、異常部では正常部に比較してΨの大きいことがわかった。これらの結果をもとに、生産現場用に検査装置の光学系の改造を行った。 図5 に示すようにエリプソメトリーの明視野系から鮮明な画像が撮像できる暗視野系に光学系を再構築して、表面粗さと拡散反射光の偏光成分比から光沢むらの解析を試みた。ここでは、偏光成分の比Ψ ’を(1)式で定義して検討を行った。 Ψ ’= tan?1(Is/Ip)……(1) ここで、Is、Ipはそれぞれ拡散反射光のS偏光成分の輝度、P偏光成分の輝度である。本実験の範囲内では、金めっきパッドの表面粗さの程度とΨ ’値は正の相関となり、Ψ ’値からめっき表面の粗さの程度を一義的に決定できる。図6 に示すように金めっきパッドの表面粗さの分布に対応するΨ’像を得た。産業技術総合研究所 生産計測技術研究センター図3 照明光の照射角度を変化させた場合の、金めっきパッド光沢むらの変化の様子(右端の画像では、むらが顕著)図4 金めっきパッドのエリプソメトリー測定結果(Ψ)と表面粗さ(Rq)の関係:正常部の例(D,E)、異常部の例(F,G)図6 金めっきパッドからの散乱光の偏光像(S,P)と、図5 暗視野光学系を用いた偏光解析 それから計算したΨ’像(表面粗さ分布に対応)