ブックタイトル実装技術1月号2015年特別編集版
- ページ
- 37/50
このページは 実装技術1月号2015年特別編集版 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 実装技術1月号2015年特別編集版 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
実装技術1月号2015年特別編集版
35これからの日本に必要な実装技術の課題について ?BGA不良事例、リペア作業、教育体制?はんだ関連技術2ひとつであることが予想される。特にここ数年では開発・試作に関しても、さらなる開発スピードの向上を目的に、海外の現地工場で指導を行うことが多くなった。 昔と違い、現在の企業生活では、社員を育てるシステム・定型教育などはあるが、そのための時間が圧倒的に少ない。これは製品の開発スピードが以前よりも上がっていること、つまり市場環境の変化が昔よりも早いことが原因であり、そのために、一社員の成長を待つだけの時間的余裕が企業側にないことを示している。そのため、我々のような技術者も会社内だけで得られる知識や経験だけでは、日々の業務に忙殺されてしまい、なかなか大成できないと筆者は感じている。そこで今回、「今後日本の企業はどのようにして本業界で世界の冠たる技術を継続的にリードしていくか?」をテーマに、 ①開発や量産後に多くの課題を残しているBGAの実装 と不良について ②リペア作業による故障事例(マイグレーション不良)と 新規フラックスについて ③Webを使用した教育体制の事例についての記述を行う。 BGA不良事例 BGAやLGAなどの多ピン、外観で判定不可能、基板Padへ直接接合するタイプの部品については、これまで多くの企業で開発の困難さ、すなわち「いかにして品質を確保するか」という点と、「いかにして量産条件の妥当性を示すか(検査を含め)」という点で課題とされてきた。現状でも多くの流出不良により、当社でも年間を通して多種多様の故障解析を行っている。 その中でも昨今、特に発生数が多く、意外と盲点となっている不良の原因について今回は紹介したいと思う。○基板の変形によるBGA接合部の破断 これまで日本国内工場で生産される製品については、日本製の基材を使用した回路基板を使用することが一般的であった。しかし最近ではコストダウン目的も含め、多くの海外製基材を使用した回路基板が使用されており、単にFR-4であるというだけで選定してしまうと、多くの不具合を生むこととなる。 基材の基本特性値の違いについては表1 を参照して頂きたい。特に注目したいのはCTE(α 1)の値である。BGAやLGAなどの部品では、そのなかでもZ方向の熱膨張係数が、はんだ接合部へ加わる応力となる。また吸水率も基材によって大きく違う。吸水率の違いはミーズリング不良などの原因となり得るので注意いただきたい。 実は基板もBGAなどのモールド樹脂パッケージ部品も、入荷した時点で、すでに若干の反りは発生している。一般に基板(FR-4)のCTE:Z値(α 1)よりもBGA封止材のCTE:Z値(α 1)の方が数値が大きい。そのため、リフロー炉内では封止材のTG点付近でフラットになるが、封止材にはガラスクロスが存在しないためTG点を超えると逆に反る。そしてリフロー炉から出てくる際には、入荷時よりも反った状態となることが多い。この現象についての模式図を表2 に示す。 この時に基板も反っている。しかし基板の場合ガラスクロスのXの本数とYの本数、ガラスクロスの積層数がメーカーによって違うため、反り方の挙動は各社様々で複雑である。ただし、どのメーカーの基板を使用していても一般的な長方形の基板形状であれば外側の辺が上に反り上がり、基板中央部が下へ反り下がるような現象を起こす(図1)。(社)実装技術信頼性審査協会、STC ソルダリング テクノロジ センター表2 BGAのリフロー炉内での反り挙動図1 リフロー後の基板の反り(FR-4)