ブックタイトル実装技術12月号2014年特別編集版

ページ
22/32

このページは 実装技術12月号2014年特別編集版 の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

実装技術12月号2014年特別編集版

341. はじめに ゼストロンは長年にわたり、欧米を中心とした世界各国においてフラックス洗浄剤専門のリーディングカンパニーとしての地位を築いている。特に近年では半導体分野におけるフリップチップ・BGA・パワーモジュールなどハイエンドのフラックス洗浄に力を入れており、数多くのユーザーからご評価いただいている。環境規制に厳しい欧州や米カリフォルニア州などの市場への対応から水系洗浄を強みとしているが、日本市場では溶剤洗浄(準水系を含む)がさかんなためか、水系に対する誤解も多くある。 本稿では水系フラックス洗浄に対する正しい理解と、どのように半導体分野のフラックス洗浄に適用していくかについて述べる。2. 水系フラックス洗浄の誤解 「環境対応製品」というと、価格が高くて性能は劣る、と考えられているかもしれない。ロジン系は水系洗浄剤では洗浄できない、という間違った言説もある。しかしながら水系フラックス洗浄は無洗浄はんだにも使用されるほど洗浄力の優れた工程であり、確立された技術である。この点で溶剤洗浄がメインである日本市場はきわめて珍しい。 「水系(water-based)」といった場合、ラインで使用する際の処理液の半分以上が水であることを指す。濃度はラインによりまちまちだが、10?20 %程度が標準的である。VOC削減という環境面、非引火性という安全面では水系が優れていることは疑う余地もないが、水系にはその他にも、次のようなメリットもある。 ①スプレー洗浄と組み合わせることによる洗浄性の向上 ②洗浄液成分濃度の低下によるリンス性の向上 ③水希釈、及び浴液の長寿命化によるコストの低減①水系洗浄剤の洗浄性 まず前提として述べておきたいのは、水系か溶剤系かが洗浄性を左右する決定的な要因ではないことである。溶剤系であっても対象フラックスと相性が悪ければ洗浄できない。水系洗浄剤であってもまず大切なのは適切な洗浄剤を選ぶことであり、洗浄実績のないフラックスに対しては数種類の洗浄剤をテストしなくてはならないが、どの洗浄剤でも洗浄できないということはごくまれである。 洗浄性は洗浄温度、洗浄剤濃度、洗浄時間、物理的撹拌によって左右されるが、水系洗浄剤の場合、物理的撹拌として特にスプレー洗浄を推奨している。水系洗浄であれば粘度もグリコールエーテル系のようには高くなく、また処理液に引火点がなく揮発しにくいことからスプレー洗浄の障害は少ない。加えて、スプレー洗浄には液中噴流よりワーク表面のゼストロンジャパン(株) / 八尋 大輔フリップチップ・BGA向けフラックス洗浄剤の環境対応と海外動向図1 噴流洗浄とスプレー洗浄の違い