ブックタイトル実装技術12月号2014年特別編集版
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実装技術12月号2014年特別編集版
16半導体実装132 はじめに スマートフォンなどの携帯電子機器の普及、小型化、高機能化に伴い、小型化した電子部品の3次元実装(3Dintegration)の開発や商品化が進んでいる。 部品内蔵基板(device embedded substrate)は3 次元実装の一形態であり、高密度配線の実現や小型化、電気的特性・熱的特性・接続信頼性の向上、部品間配線長が短くなることによる高周波特性の改善などの利点があり、 TSV(through silicon via)技術とともに注目されている。 近年表面実装用のデバイスを配線板内層に埋め込む技術の研究開発が行われ、その結果2003年にベアチップを内蔵するプリント配線板が初めて市場に登場した1)。その後相次いで受動部品内蔵基板やWLP内蔵基板が実用化された2)、3)、4)。実用化された部品内蔵基板において、その構造や製造条件は、内蔵する部品ごとに個別に最適化されている。TSVについても、また部品内蔵基板についてもその製造には種々の方法があり、信頼性も含めて開発が必要な事項は数多く残っている。 本稿では、福岡大学半導体実装研究所および三次元半導体研究センターで実施している3 次元実装への取り組みについて報告する。 三次元半導体研究センターおよび 福岡大学半導体実装研究所の設立 三次元半導体研究センターは、(公財)福岡県産業・科学技術振興財団が福岡県糸島市に2011 年3 月に設立した、部品内蔵基板を中心とした3 次元実装の設計、試作、評価、試験が量産レベルで実施できる世界で唯一の研究センターである5)、6)。 センターは、3次元実装の工法、信頼性試験方法、3次元実装のための設計フォーマットなどを検討し世界標準を発信できる拠点となっている。部品実装機も含めた最先端の部品内蔵基板試作ラインを完備している。また、8 インチウエハの評価用TEG(test element group)製造ラインも保有しており、TEG製造やTSV製造工程関連の評価が可能である。保有設備は有償利用が可能で、実装機や信頼性評価試験機を含めて、多くの企業が利用している。 福岡大学半導体実装研究所は、福岡大学産学官連携研究機関として三次元半導体研究センター内に2014年4月に開設された研究所で、工学部電子情報工学科の友景肇教授が所長である。三次元半導体研究センターと一体となって先端半導体を3次元構造に組み立てるために必要な要素技術を開発し、設計から試作解析試験までの一連の工程を評価検討している。また20 社以上とのコンソーシアムを形成し、研究活動を実施中である。 三次元半導体研究センターの 活動概要 三次元半導体研究センターでは部品内蔵基板開発とTSV開発を実施しながら種々の基盤技術を蓄積してきた。これらの技術を用いて、研究センターでは個別企業などによるセンター設備を利用した以下の研究開発などを支援している。 ①センター設備機器を利用して自社の研究開発を実施 ②センター設備機器を利用して、自社開発した材料評価 を実施 ③試作品開発のためにセンター設備機器を利用 ④福岡大学およびコンソーシアムでの開発試作にセンタ ー設備を利用 ⑤国家プロジェクトまたはローカルプロジェクトでの開 発にセンター設備を利用 従来、半導体関連の企業においては、パッケージ装置や実装材料や基板製造技術をそれぞれ独自の技術開発・研究開発により進めてきた。近年の電子機器の小型化、高機能化3次元実装への取り組み福岡大学半導体実装研究所 / 加藤 義尚